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奴の正体 前編 ページ24

自分の中に湧き上がってきた疑問、
これを聞かないわけにはいかなかった。

「あれ…何なの?」

「…、

これはなるべく
言いたくなかった事なのですが…」

チラリと私の方を伺う彼。

「どうやら言わなければ…
納得して貰うことも
出来ないようですね。

…、」

彼は少しの沈黙の後、
落ち着いた声で答えた。

「あれが…
晦冥の栄光の正体ですよ。

いえ、繁栄を呼び込んでいるモノ
とでも言えば良いでしょうか。

その目には、
一体どう映りましたか?」

「…わかんない…何も、見えなかった。」

「…そうですか。」

まるで知っていた、
とでも言うような顔で彼は頷く。

「実は…あれの正体は
未だに誰もわからないのです。

いつこの世界に生まれ落ちたのか、
そもそもあれに生と死の
概念すらあるのか…」

彼はそこまで言うと
私の赤黒くなった手首へと視線を移す。

「少々失礼します。」

「あ、」

「やはり…」

掴まれた場所は赤黒く変色しているが
何よりも目を引いたのは
いつのまにか浮き出ていたその文字だ。

きっと「あいつ」が残していった
置き土産みたいなものだろう。

「…なにこれ?気持ちが悪いな。」

何一つとして、読めやしない…
ぐちゃぐちゃな文字列だ。

彼が私の手首を触れると
刹那の痛みが走る。

「いっ、」

「…、まだ慣れて
おられないからでしょう。

大丈夫です、
数日もすれば馴染んで行きますから。

晦冥様の名を継いだ人間は必ず、
そしてあれに関わろうとした人間は稀に…
この契印が何処かしらに発現します。」

彼はそう言うと彼自身の
首元の服を少しずらす。

そこには私のものと
似たようなものは刻まれていた。

「私も同じく、
その契約を持っているタチの人間ですから、

お揃いですね。

この印はあれの加護を
受けている唯一の証です。」

加護、その言葉に内心ゾワリと
身の毛がよだつ思いがした。

「あんな奴の…?」

「おや、
そう悪くはないですよ?

これがあるおかげで、
晦冥様は何事をしても事業に
失敗する事はないのですから…」


「…、」

信じれないと言う顔でも
私はしていたらしい。

「無理もありません、
言葉で伝えられても現実味は感じられない。
実際に経験しないとわからないでしょう。」

少しクククと彼は笑う。

「不思議ですよね。

私達の道を塞ぎ
邪魔をしようとする者達は全て。
どうしてか血反吐を吐いて
死んでいくのですよ?

あんな光景を見せられては、
あれがしているとしか思えません。」

奴の正体 中編→←烙印 後編3



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おぼろん(プロフ) - MAREさん» コメントありがとうございます!続編来ました!週末投稿でペースはいつもよりは遅いのですが、これからも続けていきます!  (2021年6月23日 17時) (レス) id: fd0f1f35b3 (このIDを非表示/違反報告)
MARE(プロフ) - 何時の間にか続編が出ていた、、、、おめでとう御座います!! (2021年6月23日 16時) (レス) id: 7446762651 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おぼろん | 作成日時:2021年6月19日 15時

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