鈍感か馬鹿なのか 前編 ページ27
マダラ視点
スースーと二人分の寝息が
聞こえて来たところで
ムクリと音も立てず俺は体を起こす。
(…早くしねぇと…)
早々に帰らなければ、
流石に父や兄弟達に何を
言われるかわからない。
自分は長男ということもあり
うちは族長の後継としてある程度の
自由は許されている身ではあるが…
流石にそれにも許容範囲がある。
「んぅ…」
みっともなく腹を出したままの柱間を
尻目にそろりそろりと抜き足忍び足で
俺は戸へと向かう。
しかしだ…
「どうした？」
その声が背後から聞こえ、
俺は大きく肩を跳ねらせる。
振り返るとそこにはまっすぐに
俺を見つめる茶色の瞳…
まるで全てを見透かしているかのような
そんな鋭い瞳。
「いや、何でも…」
「あ、もしかして寝れない？」
それ以外に理由が思いつかず俺は頷く。
「あ、あぁ…まぁな。
でも外の空気吸いに行くだけだ、
A、お前は構わず寝てろよ。」
「はぁ…仕方ないなぁ…
こっちおいで。」
「は？」
「ほらほら、こっち、」
手招きをされた俺は訳もわからず、
しかし
言われるがままに彼女に近づいたのだが。
その途端…
「ッ？！！」
腕を引かれて彼女の両腕の中に入れられた。
「な、何すんだよっ？！」
「何って…寝れないんじゃないの？」
「いや、寝れねぇって言ったけど、
そう言う訳じゃ、」
「じゃあ、姉ちゃんが
貴殿を寝かせて差し上げよう！」
ギュウッと更にキツく抱きつかれ
俺はされたことがないその感覚に
自分の頬が一気に熱くなるのを感じる。
「はぁ？！
いや、姉ちゃんって何のことだよ。
寝ぼけてんのか！は、離せって！」
「ーー、
姉弟だから恥ずかしいって
思わなくて良いんだよ。」
「姉弟」との言葉に俺はつい動きをとめる。
彼女の弟らしき存在の名が
出て来た事にも、そしてきっと、
少し弟を持つ兄としても思う所があった。
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作者名：おぼろん | 作成日時：2021年5月4日 16時
