滅亡を求む不死身な転生者 第十章【NARUTO】

思い出すその記憶　中編 ページ34

ふと目を開けるとどうしてか
懐かしの私の自室の扉前に立っていた。

さっきまで、私は…

そこまで思考を巡らせて
やっとこれは夢なのだと理解する。

明晰夢を見るほど疲労していたのか…私は。

「A、」
ふと扉の向こう側で突然、
そう私を呼ぶ声が聞こえた。

この声は…そう思った瞬間、
私は扉を勢いよく開けて中に入っていた。

「マダラっ！」

そこにいたのは体中、
傷だらけの彼の姿だった。

あまりにも痛々しいその姿に私は絶句する。

「あぁ…お前か、アキト。」

一瞬、何を言われているのか
わからなかった。

何を言っているんだ…私はAだ、
そう言おうとしたのに口は全く違う事を喋る。

「その手にある血液は…
Aさんのものですよね？」

私の視線、否、アキトの視線は
あらゆるパイプに繋がれた私自身の体が
横たわるベッドへと向いた。

「一体…Aさんに
何をしているんですか。

たとえ、Aさんの大切な方であろうともその行為は許せません。」

「何をか…安心しろ…
殺すような事はせんわ。」

「貴方のやっている事は正気の沙汰じゃないって、言っているんです！！

族長を辞め、一族を抜けた貴方は…
更に里を九尾に襲わせ…柱間さんと対峙し。
それに挙句の果てには…この病院にいるAさんまで！！

Aさんがそれを望むと思ってるんですか？！」

そう言うアキトの言葉に
マダラはゆっくりとこっちの方を向く。

その真っ赤な両眼からは、
赤い血液が流れ落ちており…
彼が酷使したであろう事がすぐにみて取れた。

「お前は知らなくて良い事だ…
助手のお前はただAの残した居場所を、
一人守っていけば良い話だからな。

俺はこいつが残したあともう一つの事を
やり遂げるだけだ。」

「っ…貴方の言う通り…

僕はAさんの残した病院を
次の世代に繋いでいくのが役目です。」

ゆっくりと震える手のままアキトは一人、
私が護身用だと彼にいつも身につけさせていた一本の短刀を取り出した。

「だから…
貴方のこの病院すらをも陥れる行為を…

僕は許せません。」

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