此処に来た理由 前編 ページ24
「れいじ君…ありがとう。
あの時、私を呼び止めてくれて。」
もしあの時に私を止めなければ
きっとあのまま憎しみに支配されていた。
「ありがとう…」
手を繋いであの楠木の元まで
歩く道のりの途中
私はそう彼に心からのお礼を言う。
「いいんです、母上。」
彼は首を横に振って答える。
「あ。でも、実は…
母上に頼みたい事があるんです。」
「頼みたいこと?」
「その…これが全て終わったあとの…
事なんですが…」
歯切れが悪そうに彼は言った。
「僕、実は母上のところまで行く途中で
シュラさんに悪い事をしてしまいました…」
「シュラに?」
「はい。
トイレに行くだけと嘘をついて、
母上の所に…
だから、きっと僕のことを
探させてしまったかもしれません。
僕の代わりに…謝っておいてくれませんか?
本当は僕から謝りたかったんですけど…
この世界には、」
彼は少し俯き気味でそう答える。
「うん、わかった。
任せて、れいじ君。
シュラに私から
ちゃんと伝えるから。」
「ありがとうございます。」
「ううん、それくらいなんて事ないよ。」
そう話しながら私達は二人、
全ての始まりの場所へと到着した。
大きな楠木は変わらずそこに佇んでおり
私達を見下ろしている。
「…、」
しかし、何が違うかはここに
山神様がいるかどうか、であり…
今のこの大樹には何かしらの特別な、
そして強大な力を感じることができた。
「僕の母上は…
この楠木の中に眠っています。
山神様として…」
「じゃあ…此処にいるんだね。
未来の私が…」
「はい。未来の母上ですね。」
そう言って少し切なそうな表情を彼はしていた。
64人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
おぼろん(プロフ) - あまねさん» あまねさん、ありがとうございます〜(*^▽^*)長らくお待たせしてしまい申し訳ございません…それでも読んでくれる方がいてくれる事に作者、おぼろん感謝感激ですッ!!! (2021年11月2日 10時) (レス) id: 05589eb251 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - 完結おめでとう〜、、、ございます(無理矢理感半端ない敬語) (2021年11月1日 23時) (レス) @page35 id: 1a6dd63888 (このIDを非表示/違反報告)
おぼろん(プロフ) - あまねさん» あまねさんコメントありがとうございます!内容が濃いだなんて…嬉しいです!ありがとうございます!色々と思考を凝らした甲斐がありました!(*^^*)更新これからも頑張ります! (2021年8月15日 17時) (レス) id: 3562684528 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - 1話1話の内容が読み応え(濃くて)があって、読んでいると時間を忘れる作品でした!更新頑張ってください(ケラッ (2021年8月14日 0時) (レス) id: 1a6dd63888 (このIDを非表示/違反報告)
おぼろん(プロフ) - えりなさん» えりなさんコメントありがとうございます!最近こっちのお話は全然浮上出来てないので申し訳ないです…もっと更新できるように頑張りますね! (2021年7月24日 6時) (レス) id: cc1232a354 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ