その時 後編 ページ15
(末代まで呪い殺してくれる…
俺を穢した奴ら全て…
いや、人間共全てを…
この俺が…)
空気が凍てつくようなそんな
ドス黒い感情の声が聞こえたかと思えば…
(A…A…
早く…俺を殺してくれ…
あぁ、早く…しなければ…
お前まで…)
そんな優しみで溢れた声もあった…
自分の意識すら危うい中で
そんな二つの真っ二つに裂けた声が
絶え間なく、まるで波のようにを私には聞こえていた。
「シズク…
お父さんの…声…聞こえる?」
一体、こんな状況で何を聞いてるのか?
と自分自身思うが、それでも律儀に彼は答えてくれた。
「はい…
山神様の貴方様を思う言葉なら、
この耳にも…しかと届いております。
昔も…そして勿論、今もです。」
一つが聞こえているなら、
あともう一つも聞こえているはずなのに、
その声には触れないシズク。
「そっか…聞こえてるんだね。」
実は、
どんどんもう一つの憎しみの声が私の中で
大きく聞こえてきているんだ。
それは私の体と言う器が
「彼」というあまりにも大きな存在に
耐えきれなくなり、
とうとう悲鳴を上げつつある事を
裏付けている揺るぎない証拠だと確信した。
「シズク…あのさ…もしも…
もしも…これが…成功しなかったら…」
山神様のその感情に
呑まれてしまうだろう。
そうなってしまったら、
私と言う自我はなくなり、
きっとそれだけではなく周りすらをも…
あぁ、嫌だ。
そんな最悪の想定、考えたくもない…
「私を置いてみんなを連れて…
逃げて…ね。」
「そんな事、仰らないでください。」
「でも…」
「しかし…A様。
本当の事を言ってしまうと、
私は一切、今回の封印を解く事など
心配しておりません。
シュラも同じ思いでしょう。」
「…、そう、なの?」
「はい。」
何やら確信しているような
表情を私に見せるシズク。
「山神様が…今のA様を見て、
直接呪いの言葉を吐けるとは思えません。」
彼はそう言うと
抱えている私の方へと視線を下ろす。
「ましてや、
御宿様にそっくりであられる
貴方様ですから…
そんな度胸、
あのお方には微塵たりともありませんよ。」
そう言って彼は私から視線を外すと
真っ直ぐと前を見据える。
「絶対に、
失敗などありえません。
故に
貴方様を置いていく選択肢など、
はなから無いのです。」
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おぼろん(プロフ) - あまねさん» あまねさん、ありがとうございます〜(*^▽^*)長らくお待たせしてしまい申し訳ございません…それでも読んでくれる方がいてくれる事に作者、おぼろん感謝感激ですッ!!! (2021年11月2日 10時) (レス) id: 05589eb251 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - 完結おめでとう〜、、、ございます(無理矢理感半端ない敬語) (2021年11月1日 23時) (レス) @page35 id: 1a6dd63888 (このIDを非表示/違反報告)
おぼろん(プロフ) - あまねさん» あまねさんコメントありがとうございます!内容が濃いだなんて…嬉しいです!ありがとうございます!色々と思考を凝らした甲斐がありました!(*^^*)更新これからも頑張ります! (2021年8月15日 17時) (レス) id: 3562684528 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - 1話1話の内容が読み応え(濃くて)があって、読んでいると時間を忘れる作品でした!更新頑張ってください(ケラッ (2021年8月14日 0時) (レス) id: 1a6dd63888 (このIDを非表示/違反報告)
おぼろん(プロフ) - えりなさん» えりなさんコメントありがとうございます!最近こっちのお話は全然浮上出来てないので申し訳ないです…もっと更新できるように頑張りますね! (2021年7月24日 6時) (レス) id: cc1232a354 (このIDを非表示/違反報告)
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