書類くらい自分でやれ 前編 ページ8
「ねぇ、A、A？」
「何だ、ミト姉さん。」
ズズズと彼女が持って来たお茶を飲みながら彼女の方へと視線を向ける。
「あの…一体、
柱間様はどうしたのかしら…」
火影用仕事机に突っ伏している柱間を
指差しながらコソッと私に耳打ちをする。
「あー、気にしなくていい。
自業自得だから。」
慣れていない書類仕事をぶっ通しで片付けていた柱間は最早抜け殻状態、
しかしそれも全て弟に仕事を押し付けていた分が帰って来ただけだ、同情の余地もない。
「おい、起きろ！」
こうして気絶という名のサボりをしている柱間に私は巻物を投げつける。
カンとかなりの良い音を立てて、
それは柱間の頭に命中した。
「フガッ！！A！
す、すまぬ！うっかり…」
「謝る前にその目の前に
あるやつを終わらせろよ。」
「わ、わかったぞ。」
「でも無理は禁物ですよ、柱間様？」
「ミト！！」
さも嬉しそうに目を輝かせ姉さんにデレる柱間、そんな彼に容赦無く私は鉄槌を下した。
「あぁ、
それも普通の人ならって話だ、柱間。
お前なら偶の無理くらい何の問題はない、
大丈夫だ。」
「そうねぇ。Aが言うなら…
そうなのかもしれないわね。
なにせ医療忍者なんだもの！
頑張ってくださいね、柱間様！」
「それはないぞぉ…」
がっくりと肩を落とす柱間を横目に
千手邸にて私も未だに書類仕事を続けている。
その横で興味深そうに
私の手元の書類を眺めている姉さん。
「…、それは何かしら？」
「これか？
これは教科書の内容についての確認だな。
忍者アカデミーか…いいな。」
「教科書？教科書って何？」
「あー、えっとだなぁ。」
ついつい前世の言葉が出てきてしまうのはどうにかしないといけない、
肝心の記憶がないのに物の意味や内容を覚えているのも何とも不思議だが…
「あれだよ、あれ。
子供達が学ばないといけない事とか…
忍者アカデミーだし…
きっと忍者とはなんたるやとかが載っている巻物みたいなもんだろ。」
「何だかとても面白そうね！」
ワクワクした表情を見せるミト姉さんに
私も頷いて同意する。
「あぁ、そうだな…楽しそうだ。」
忍者アカデミー…か。
とても良い発想だと思う。
誰の提案かと気になってその巻物を更に広げてみると最後の方に発案者数名の名前が記載されていた。
その一番上には…
「千手扉間…まぁ…そうだろうな。
あとは…うちは…イズナ？？」
まさかこの人物の名が出てくるとは思わず
視線が釘付けになった。
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