ピッタリの役割 前編 ページ27
「Aさん…
もしかしてそ、その人は…」
部屋に入るなり地面に
書類をぶちまけるアキト。
あの時は湯飲みだったが、今回は紙らしい…
「大丈夫か?」
「は、はい…少し驚いただけです。
まさかAさんの言う通りに…戻って来たんですね。」
書類を拾うのを手伝いながら
私は軽く彼の紹介をする。
「あー、アキトは知ってるよな。
彼の名前は角都。俺の影の側近になってもらう人だ。」
「影の??」
「あぁ。
表立って出来ない事を
してもらうつもりでいる。」
とは言っても別に人を殺してもらうとかそんなブラックな事じゃないから安心しろ??
とそう私は付け足して言う。
「まぁ…二人共これから、色々と手を取り合って行くんだから仲良くするんだぞ?」
「フン、俺は馴れ合う事はしない。
それになんだ…お前の側近がこいつか?
まだまだ餓鬼じゃないか、」
「…?!
が、餓鬼じゃありません!!
僕はうずまきアキトです!」
そう角都に言い返すアキト
珍しく感情的になっている。
「何処が違う、餓鬼だろう?」
「餓鬼じゃない!!」
「おい、お前ら。
仲良くしろって言った矢先こうなるのか?
勘弁してくれよ…」
エンカウンター自体
失敗しているこの感じに私は頭を抱える。
「もういいです、
僕はAさんと
話をしに来ただけなので!」
そう言うなり彼は私の机の上に
どさりとかなりの量の書類を置く。
「前に話していた出費の件ですが、
いくつか候補があったのでまとめてきました。」
さっき派手にばら撒いた奴だ。
「お、おぅ…お疲れ様。
大変だっただろう?それをこんな短時間で。」
「いえ、僕はこういうのは得意なので、
全然苦じゃありません。」
「ありがとうな。」
私とアキトは二人、
書類を囲んで話を始める。
今、私達が病院拡張の為に
あらゆる資材が必要なのだが、
それをどの企業から買い取るか
その選択を迫られているのだ。
かなり莫大なお金の取引となる事もあって、
末永く関係を続けていきたいと思うのが本音だ。
だからこそ出資する企業はこの社会の荒波に
容易く潰れる企業であって欲しくはないのだ。
私は二人での話合いの中
やっと一つの企業に絞り込む。
「じゃあ…此処に賭けてみるか?」
「いいんじゃな、」
「いや、その市場はやめておけ。
此処の株は今は上昇する傾向にあるが、
他と比べて落ちる時はなんの前触れもなく
かなり急だ。」
ペラペラとまるで書かれている台詞を
読んでいるかの様に出てくる彼の株情報。
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