滅亡を求む不死身な転生者【NARUTO】

変わり目　前編 ページ33

「Aッ！」
その時、まさかの声が聞こえた。

空耳かと思ったが、そうでもないらしい…
彼女の暖かさをその身に感じたのだから。

「お…かあ…さん、」

「ごめんなさい…
あぁ、ごめんなさい…A…！」

彼女は何度も何度も謝り続ける。
またあの凍傷事件の時みたいだ、
とそう私は思う。

でもあの時とは決定的に違うのは
今度は自分からちゃんと言葉を伝えられる。

「お母さん、の…せいじゃない…よ。
でも…ごめんなさい…失敗…しちゃった…」

「ううん、A、私の可愛いA…
謝らないで、私が悪いのだから…

昔から…守るって言っていたのに、
それなのに…
本当不甲斐ないお母さんで、ごめんね…

だから、A…」

そう言うとお母さんは私をそっと寝かして
立ち上がる、その細い手にクナイを持って。

「最後の最後くらいは、
貴方のために母親らしい事をさせて頂戴。」

彼女の青い瞳が見つめる先、
そこには数人、顔を隠した赤髪の忍者達が立っていた。

「まさか…お前は…何故…」
彼らはお母さんが宗家の奥方だと
理解したのだろう、戸惑いを見せた。

「裏切り者を処断する貴方達は追い忍かしら…
仲間であった者達を斬らねばならない役目は大変ね…

今回はこの私が裏切り者よ。
さぁ、役目を果たしなさい。」

「「「？！」」」

そう言うとまるで忍者のような俊敏な動きで彼女は踏み込み、その忍者達と交戦し始める。

いや忍者のような…ではない、
彼女はきっと元は忍者だったのだろう。
そうでなければあのような動きをできる筈がない。

まるで身を削るようにして戦う彼女の方に手を伸ばす。

今までは、お母さんの方から私に手を伸ばしていたのに、いつの間にか立場が逆転していた。

とてつもない眠りに襲われた私は、
パタリとその手を地面に落とした。

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