あの黒髪見覚えが… 後編 ページ32
少し不恰好にはなってしまったが、
止血さえ出来てればそこに綺麗さなんて関係ない。
「お前、見たところ俺よりも年下だろ…
言っておくが、俺は貸しを作らない。
だから今度お前に戦場であった時は、
一度だけは見逃してやる。」
「え、いいよ別に…」
「なっ、お前、
俺が折角言ってやったもんを！」
私は戦争に行くつもりはないのだから、
そんなお返しは必要ない。
「いや、だってわたし、」
私は立ち上がって彼に向き直ったその時、
私の視界にズバッと赤い鮮血が舞う。
「ッ、」
一瞬時が止まったような感覚に襲われる。
ゆっくりと自分のお腹を見ると、
そこからは一本の銀色に光る
血に濡れたそれ。
「…ぁ…」
刺された、後ろから…
それを理解した瞬間、
今までにない程の寒気が体全体を襲う。
「おいっお前っ！チッ、くそっ、」
刀が乱暴に引き抜かれると共に
私が目の前に倒れ込むと、
その少年が悪態をつきながら私の体を支えてくれる。
彼自身、酷い怪我を負っていると言うのに、
彼は刀を私を指したであろう人物に
向けて振る。
その時、私の視界の端で一瞬赤い髪が見えた、
この事から私はやたら冷静に自分を指したであろう人物は、同じうずまき一族の血を引いている者だと理解する。
「どうして、同じうずまきのお前が刺されるんだッ、」
そう言いながら刀が貫通した腹から溢れ出る血を彼は手で止めようとするがそれも叶わない。
(あぁ…まぁ。そうか…
裏切り者認定…されたのか…)
まさか、渦の国を出る前に自分が
死んでしまうとは思ってもいなかったが…
「おいっ、しっかりしろ！」
私のなのかそれとも彼のなのかも、
あまりにも辺りが血に濡れすぎてわからない。
「私の事、は…いいっ、」
そう言って私は最後の力で彼を突き飛ばす。
「何を言ってんだ！」
「いいからっ早く行けっ！！」
血が混じり、ゴポッと汚い音が出るが
構わずにはち切れそうな程の大声を出す。
自分はもう手遅れだ。
こんな深傷、今更どうしようも出来ない…
血も失いすぎた。
「ッ…」
彼は唇を噛んで私を見る。
私に気を取られていたら少年まで殺されてしまう、
そんな心残り残したくはない。
「は、やく…」
彼は立ち上がると後退り
少しの間、私を見つめるとサッと姿を消した。
(うん…これでいい。)
どうせ死ぬのなら最後くらい
ちょびっといい事してから
死にたいじゃないか。
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おぼろん(プロフ) - MAREさん» コメントありがとうございます！！ジョジョも大好きなので、どうしてもジョジョネタをぶっ込みたかったんですwww面白いと言ってくれて本当に嬉しいです！ (2020年12月13日 15時) (
レス) id: 1ee1bd2324 (このIDを非表示/違反報告)
MARE(プロフ) - 面白かったです！初っ端のジョジョネタで笑いましたww主様とは気が合いそうですw (2020年12月13日 10時) (レス) id: 7446762651 (このIDを非表示/違反報告)
おぼろん(プロフ) - 豆腐の角さん» コメントありがとうございます！！いくつも掛け持ちしてるので申し訳ないです。他のと両立できるようにがんばります！！ (2020年11月28日 6時) (レス) id: 32dbdc0bea (このIDを非表示/違反報告)
豆腐の角(プロフ) - おお！今度はナルトですね！おぼろんさんの作品のナルトはとても面白いし他にはない作品なので、とても嬉しいです！これからも楽しみにしてます！ (2020年11月27日 21時) (レス) id: d448052499 (このIDを非表示/違反報告)
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