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あの黒髪見覚えが… 中編 ページ31

とても自分勝手なのだが、
勇気を出してやった親切を
無碍にされた時は人間誰しも腹が立つものだ。

「はぁ?!罠じゃねーよ!
ほら!これは何の変哲もない包帯だよッ!」

私は包帯を広げて彼に見せる、
少しだけちぎってわざわざペロッと舐めてさえ見せる。

「美味しくはないけど、
毒なんてもん何処にも塗っていないから!」
これに毒がついているのであれば、
私は今頃お陀仏している。

「お、俺は、敵の情けは受けない!」

私は彼に近ずかないまま、
ぽんッと包帯を彼に投げる。

「うん、でもそれはあげるよ。
まぁ、使うか使わないかは君次第だからさ…
じゃあ、」

「ま、待てっ!」
彼は私を呼び止める。

「いや…、私、もうそろそろ行かないと…」

「答えろ。お前のその髪は
うずまき一族の奴だろ!
何故、敵であるこの俺を助けようとするんだ。」

「べ、別に…助けようとだなんて…」

私は彼に包帯を渡しただけ、それだけだ。
何にも加担した訳ではない……。

いや、それは言い訳かもしれない。

確実に彼はうずまき一族とは
敵対している一族の出の少年だろう。
この時代に敵対している人間を助けるとか、まずはない。

しかし、ただ放っておくのはすごく胸糞が悪かっただけ…私の前世の日本人である部分が悪く働いたのだろう。

違う一族でも同じ人間だ…と。

「もう、何だっていいじゃん…
なんかそんな気分だったんだよ…」

「は?き、気分?」
思いっきり顔を歪ませる少年。

訳がわからないとそんな表情をする少年に
私は風呂敷を持ち上げて背負うと、また歩き出そうとする。

「じゃ、じゃあ…私はこれで。」

「お、おいっ、」

しかし、またしつこく呼び止められる。
彼は少し私から目線を逸らして
包帯を手に持ち、私に向けて突きつける。

「いや、だから…私はいらないから…
君が、構わずに使いなよ…」

「ち、違う!そうじゃねぇ…」

「…?」
彼は下を向くと、屈辱的だ、
とでも言うように声を喉から絞り出す。

「包帯を…ま、巻いてくれ…」

「…。」

さっきまですごく警戒していただろうが…とは思うが言葉には出さない。

しかしどうやら自分で包帯を巻く事すら出来ない程、彼は憔悴していたらしい。

「まぁ…それくらいなら…」

私は彼から包帯を受け取ると
広げて、慣れてはいないが彼の脇腹に巻き付けていく。

「下手だな…お前…」

「うっせぇ。」

あの黒髪見覚えが… 後編→←あの黒髪見覚えが… 前編2



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作品ジャンル:アニメ
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おぼろん(プロフ) - MAREさん» コメントありがとうございます!!ジョジョも大好きなので、どうしてもジョジョネタをぶっ込みたかったんですwww面白いと言ってくれて本当に嬉しいです! (2020年12月13日 15時) (レス) id: 1ee1bd2324 (このIDを非表示/違反報告)
MARE(プロフ) - 面白かったです!初っ端のジョジョネタで笑いましたww主様とは気が合いそうですw (2020年12月13日 10時) (レス) id: 7446762651 (このIDを非表示/違反報告)
おぼろん(プロフ) - 豆腐の角さん» コメントありがとうございます!!いくつも掛け持ちしてるので申し訳ないです。他のと両立できるようにがんばります!! (2020年11月28日 6時) (レス) id: 32dbdc0bea (このIDを非表示/違反報告)
豆腐の角(プロフ) - おお!今度はナルトですね!おぼろんさんの作品のナルトはとても面白いし他にはない作品なので、とても嬉しいです!これからも楽しみにしてます! (2020年11月27日 21時) (レス) id: d448052499 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おぼろん | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2020年11月27日 9時

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