私を覆う恐怖 前編 ページ46
「何の話をしている？」
「…っ、」
そうだ、彼が知る訳がない。
他人のような顔をされて、
私は少しでも私の事を知っていて、
もしかしたら私を家族の存在として受け入れてくれるんじゃないか、
なんて甘い考えをちょっぴりでも持っていた。
そんな事があるわけがないと言うのに…
どんどん暗くなって行く考えを
私は頭を振って振り払う。
「とにかく私を元の場所に返して！！」
「わからんな…
お前自身が俺の場所に来たのではないのか？」
「そんな事私にできるわけ、」
「ない事もなかろうが…
お前は俺を受け継いでいるのだろう？」
彼は私から視線を逸らす言葉を紡いだ。
「しかし、
望んで受け継いだ訳ではなさそうだが…
まぁ…当たり前か。
お前はまさに俺の器となった
人柱のようなものなのだから。」
人柱？望んで受け継ぐ？
あらゆる言葉に意味がよくわからなくなってくる。
詰まる所、今の私は何だと言うのだ。
さっきまでの不機嫌な顔は
何処へ行ったのやら、
彼は私に向けて笑顔を見せる。
「しかしだな…
どうやらお前という器に俺は
収まり切れていないように見える。」
私が箱を壊してしまったその直後、
意識を失って…
いつのまにか私の中にいた存在が、
怨霊になった私の父親だとか言う存在で…
そして知らぬまに過去にまで
飛ばされて来て、
怨霊になる前であろう父親が目の前に…
そこまで考えて、
私は的場のある言葉を思い出す。
(貴方は今まさに
その呪いに殺されかけているんですよ。)
「もうじき…死ぬようだな？人間。」
彼のその言葉と的場の
言葉が重なって聞こえた。
「…。」
死ぬ…
スッとその言葉は心の中に入ってきた。
「死…ぬ？」
浅くなっていく呼吸に私は苦しさを感じる。
「お前がこうして自分の意思関係なく、
過去の世界とやらに迷いこんで来たのにも
辻褄が合うだろう？」
私は彼の言葉に無意識のうちにコクリと頷く、
まるで親の言う事だけを信じて生きる子供のように…
「事実を知って煩く泣き喚くかと思ったが…
気に入った、
お前は良い子だ…」
私はこの存在に呪い殺されるんだ、
その事実だけが私に重くのしかかった。
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おぼろん(プロフ) - 豆腐の角さん» コメントありがとうございます！全然気にしないでくださいね。皆さんに見てもらえるだけでも嬉しいので！これからも頑張ります！ (2020年11月7日 6時) (
レス) id: a49c31890f (このIDを非表示/違反報告)
豆腐の角(プロフ) - 二章目おめでとうございます！初めの一票取れませんでした………。これからも頑張ってください！楽しみにしてます！ (2020年11月6日 22時) (レス) id: d448052499 (このIDを非表示/違反報告)
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