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私を覆う恐怖 後編 ページ49

「、」
立ちあがろうと足に力を入れたのに、
どうしてか崩れ落ちてしまう私を
レイコさんが支えてくれた。

「だ、大丈夫っ?!A?」

ジロジロと私達を見ながらそこに佇む彼、
もとい山神様、と呼ばれているその存在は、
道徳などと言う物を知りはしないのだろう。

私を見ながらケラケラと軽快に笑う。

「それが人間の言う、
絶望感というものか?

ハハハ、愉快愉快!
まさか立ち上がれなくなる程とは!」

「…、」
ふざけんじゃねぇ、と言いたい所だが、
私自身あまりにも大きな感情に打ち拉がれていたのだから、否めない。

「良い良い!

その感情ももうじきなくなるだろう!
今のうちにたんまりと感じておくといい。

なぁ、A?」

彼のその言葉を聞いて
ピタリと私は動きを止める。

今、此奴、私の名前を言ったのか?

お母さんを置いていったお前が?

悲しみだけを私に与えたお前が?

怨霊に成り下がったお前が?

そしてこの私を呪い殺すお前が?

「お前が…

私の名前を口に出すなよ。」

感じた憎しみをそのままに
口から吐き出した瞬間、

一気に浮きだったかと思えば
ブワッと逆立つ私の漆黒の羽毛。

「Aっ、貴方…

妖だったの?」

しかしすぐにそう声が聞こえて、
見られてはいけない存在が近くにいた事に
私は今更気がつく。

「…ぁ。」

体中が羽毛で覆われて、
そして黒目は赫く、白目は黒く染まっている
今の私が妖に見えない訳がない。

ハッとして気持ちを落ち着かせようと
させるももう遅い、

憎しみに染まりすぎて、
自ら穴にはまってしまったような物だ。

なんて言い訳をしよう、
なんて答えれば彼女は理解してくれるだろう…

嘘をついた訳じゃないんだ…と。

「くくくっ、どうだかな?小娘。

お前にはそいつが
何方かなんてわかるまいよ。」

「っ、」
歯を食いしばって俯いた。

*裏話→←私を覆う恐怖 中編2



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おぼろん(プロフ) - 豆腐の角さん» コメントありがとうございます!全然気にしないでくださいね。皆さんに見てもらえるだけでも嬉しいので!これからも頑張ります! (2020年11月7日 6時) (レス) id: a49c31890f (このIDを非表示/違反報告)
豆腐の角(プロフ) - 二章目おめでとうございます!初めの一票取れませんでした………。これからも頑張ってください!楽しみにしてます! (2020年11月6日 22時) (レス) id: d448052499 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おぼろん | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2020年11月5日 22時

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