私のキョウダイ (ページ19)

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ワークを持って小走りで職員室へ向かった。

珈琲の香り漂う空間に入って

先にワークを担当の先生に提出してから

担任と廉がいる職員室の奥の方へ向かう。

ノックして入って行くと

向かい合った状態で話し合う二人が私を見た。

「伊藤、呼び出してすまないな」

「いえ。残ってたんでよかったです」

廉の隣に座って何の用事か聞いてみれば

この一週間の感想が知りたいとのことだった。

「永瀬が転校してきて何か変わったこととか

周りから見て思うことがあったら知りたいんだ」

「変わったことですか… 」

隣の廉はジッと私を見て続きを待っている。

「 …うーん、女子が活発的になった、くらいですね」

「活発的？具体的には？」

「え、みんなテンション高いみたいな」

「それはつまり？」

「廉がモテるからですよ」

「何でそんなこと言うねん！先生も先生やわ！

聞かんでも何となく分かるやん！(笑) 」

明らかに照れている廉は私と担任にキレッキレの

ツッコミを入れてから口元を押さえる。

「すまない(笑) あとは？」

「えー、そんな感じですかね。

逆に先生から見て私と廉って身内感出てますか？」

私の質問に腕を組んで考え込む担任。

「先生が見る限りそう思わないけどなー。

やっぱり身内って言いづらいか？」

「言いづらいって言うより言いたくないです。

親の事情とか変に噂されるの嫌なんで」

「そうか。そういうことも含め別の名字なんだもんな」

黙ったままの廉を見た担任は「永瀬も？」と問う。

「俺もそうですね。

まだキョウダイって意識してないですもん」

「まだ一週間くらいしか経ってないもんね」

「仲良い友達の女の子ってイメージです」

廉を見ると「ほんまに友達みたいやで」と何故か

念を押すように力を込めてそう言った。

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