懐古する関係 5 ページ13
屈したオレを見てコウは微かに笑う。
コウ「…すぐに治療セットと飲食物を。」
部下がコウの指示を聞いて部屋を出て行くと、コウはオレを閉じ込めたまま檻の鍵を閉めた。
コウ「A様、手をこちらに向けてください。」
貴「…。」
後ろ手を檻の外へ出すと、コウはオレの両親指を拘束していたモノを外した。
コウ「ああ、かすかに痕が残ってしまいましたね。痛かったでしょう。ごめんなさい」
オレの、少し赤くなっただけの拘束痕は自分のことのように心を痛めるのに、
それ以上の重傷である白蘭たちには見向きもしない。
貴「…君は、オレの『何』だ？」
その質問の仕方が正しかったのかはわからない。けれど何者かを聞くのより、彼女そのものの本質を知る方が先だと思った。
コウは鉄格子越しにオレを見つめながら、お人形のような笑みをまた浮かべる。
コウ「A様、【生まれ変わり】って信じますか？」
貴「生まれ変わり…だと？」
コウ「僕は貴女に会うために生まれ変わってきたんです。」
貴「…それは比喩か？それとも、本気か？」
冗談とも取れるその答えの真意を探ろうとする。
コウ「さあ、どうでしょう？
…1時間だけ時間をあげます、その間に治療を。
ああ、A様が特殊なゆえに、リングなしでも多少の炎が使えることは存じていますが
もし逃げようとすればこの地下を爆破し、生き埋めとなりますのでご注意を。」
貴「そんなことしたらお前達も死ぬだろう」
コウ「僕はこの組織の長ではありませんし、A様と死ねるなら本望ですので。」
本気だと読み取れるような笑みを見せてコウは去っていく。
渡された包帯や消毒液、飲み物をオレはまず白蘭に与えた。
貴「幻騎士、ちょっと待ってろよ」
オレはまず手に炎を灯し、晴のヒーリングを白蘭に浴びせる。
貴(…っ…やはり死ぬ気丸もなしに炎を出すのはキツイ。無駄な放出が多すぎる。
逃げることを考えたら体力を温存しておきたいが、そうもいかないか)
大きな出血のある部分だけを治し、白蘭の体内の不足した血液を、傷口に触れながら雲属性を流すことで増殖を促す。
一歩間違えれば殺してしまう作業に、冷や汗が流れた。
貴「…はぁっ…はぁっ…」
ブルーベル達を夜の炎で移動させた疲れや戦闘をしたもあってか、目が霞む。
それでもオレは白蘭の治療を続けた。
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もも - 更新ずっと待ってます！ (7月16日 23時) (
レス) id: 9e7ed20773 (このIDを非表示/違反報告)
琉玖(プロフ) - ずっと探してた作品がこんなにも長く続いていたとは……！とてもこの物語に夢中になりました (6月4日 7時) (レス) @page27 id: 626e7bbf13 (このIDを非表示/違反報告)
こまり - 続きが気になります…(,,・д・) (6月3日 23時) (レス) @page27 id: fd7a7e37b1 (このIDを非表示/違反報告)
ぽんず(プロフ) - 本当に作者様の作品大好きなんです！！更新お願いします！！！！！ (2021年8月16日 2時) (レス) id: 15d62d88c4 (このIDを非表示/違反報告)
ぽんず(プロフ) - 最初から読み返してきました！もう更新はされないのでしょうか… (2021年4月8日 13時) (レス) id: df822e1853 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らっく
| 作成日時：2019年3月22日 18時
