懐古する関係 4 ページ12
コウ「さあ、なぜでしょう」
戯けてはぐらかすコウにオレは歯噛みしながら、交渉を続ける。
貴「…何が望みだ?」
コウ「ふふ、僕の問いに少し答えてほしいだけですよ。」
貴「ユニちゃんの居場所なら言えない。」
コウ「ああ、アルコバレーノ。
それならもう良いです。興味が失せましたから」
貴「…?」
コウ「僕はもっとA様のことを知りたいんです。た・と・え・ば…この瓶に入った水のこととか。」
コウはポケットからオレが持っていた瓶を出し、それをちゃぷちゃぷと揺らしてみせた。
コウ「これ、一見するとただの水みたいですけど…確かパーティーの会場でA様はこれを取り出して戦おうとしてましたよね?
なにか秘密があるんですか?
これを飲むとすごく強くなれちゃうとか」
コウの鋭い洞察にオレは反論できない。
貴「…オレ以外が飲めば死ぬ。」
それは半分ほど嘘に近い憶測だった。
星の泉の水を飲めば誰でも強くなれるはず…だが、オレ以外にそれを口にしたことのある人間はいない。
あれは全身の細胞を活性化させて『究極の死ぬ気』に人間を導くもの…普通の人間が飲めば細胞が耐えきれなくて死ぬ可能性は十分にあった。
コウ「そうなんですか?
なら、誰かに飲ませて実験しましょうかね。
ちょうど良いモルモットも2体いますし」
幻騎士と白蘭を見るその視線からかばうように、オレは檻越しにコウの前に立った。
貴「ダメだ」
コウ「ダメだと言われましても、これがどんなものか聞かないと私もどう扱ったものか決めかねます」
貴「…それは…」
星…おしゃぶりの泉の話をするということは、オレが虹の守護者をやめてまで守りたかったものを敵に差し出すことになる。
誰にでも死ぬ気が使えるようになる、星属性の炎が溶けた水…そんなものが武器として利用されれば、リングと炎が最大の武器になっているマフィアの勢力図はひっくり返ってしまう。
大きな抗争が起こる。
コウ「…A様が答えられなくても、後ろの2人が知ってる可能性もありますね。
再度尋問を開始しましょうか。
さあ、白蘭を運び出して」
コウが指示を出すと、通路で控えていたらしい部下が檻に入ろうとする。
貴「!」
こんな状態でまた痛めつけられれば…白蘭は今度こそ…!
貴「待て!」
とっさに制止しながら、一瞬の後悔が胸をよぎる。
それでもオレは…己の弱さを選択した。
貴「…詳細を話す。だから、先に治療をさせてくれ」
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もも - 更新ずっと待ってます! (7月16日 23時) (レス) id: 9e7ed20773 (このIDを非表示/違反報告)
琉玖(プロフ) - ずっと探してた作品がこんなにも長く続いていたとは……!とてもこの物語に夢中になりました (6月4日 7時) (レス) @page27 id: 626e7bbf13 (このIDを非表示/違反報告)
こまり - 続きが気になります…(,,・д・) (6月3日 23時) (レス) @page27 id: fd7a7e37b1 (このIDを非表示/違反報告)
ぽんず(プロフ) - 本当に作者様の作品大好きなんです!!更新お願いします!!!!! (2021年8月16日 2時) (レス) id: 15d62d88c4 (このIDを非表示/違反報告)
ぽんず(プロフ) - 最初から読み返してきました!もう更新はされないのでしょうか… (2021年4月8日 13時) (レス) id: df822e1853 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らっく | 作成日時:2019年3月22日 18時