第28話:土塊の初動 ページ7
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白井黒子は戸惑っていた。
通報にあった金髪褐色の女、という不審者を見付け、住人向けに避難命令も出した。この街の学生なら誰もが知っているそれは、逆に「それを知らない外の人間」を炙り出す事も出来る。
だから、白井黒子は戸惑っていた。
(ど、どういう訳ですの……？)
濁流の様に学生達がいなくなり、残ったのは通報通りの容姿を隠そうともしない女。
そして、自販機の前で腰に手を当てながら缶コーヒーを飲んでいる白髪の――学生。
(避難命令が聞こえていない？ そんなはずありませんわ。この距離で聞こえていないならもっと多くの学生が残っていますの。それに、慌てふためく人々の異常な様子で察しがつくはず……仲間？ いえ、制服も着用していますし――今は、あの女の確保に集中しましょう)
とにかく、と白井は不審人物に話しかけた。
「動かないでいただきたいですわね」
件の女は、白井の言葉に大した反応を見せない。
「自身が拘束される理由は、わざわざ述べるまでもないでしょう？」
女が擦り切れた袖に手を入れ、何かを取り出そうという「僅かな動き」をした時――「ですから、動くな、と申し上げております。日本語、正しく伝わっていませんの？」白井は、女を地に縫い付けていた。
余裕の笑みを崩さない白井は、完全に勝利を確信していたのだろう。
だから、目にも止まらぬ速さで「それ」を書き上げる女の表情を見て、ぎょっとしたのだ。
(何……ですの!?)
自分の背後。つい先程まで女が立っていたであろう背後から、爆発の様な轟音が鳴る。
振り返るだけの余裕も無く、白井は宙に投げ飛ばされた。
そして、その轟音と衝撃は。
「――!! 逃げてくださいまし!!」
自販機に今小銭を投入しようとしている学生に、届く。
「――――？」
しかし、何たる矛盾だろうか。
衝撃波も、長さ二メートルに及ぶ土塊の「腕」も、あの針金の様に華奢な体なんて木っ端微塵にする威力なのに。
回避運動も行っていないその学生は、のんきに缶をゴミ箱に捨てていた。
その光景に、縫い付けられた女も目を見開く。
「……なンか知らンが」
白井と地面の女を交互に見た学生は、ようやく状況を理解したかの如く声色で「帰る」と告げてその場を離れようと体を翻す。
「待ちなさいよ」
憤怒以外の感情を削ぎ落した様な声が、この場に放たれた。
「そっちはそっちで何が何だか知らないけど」
続いて、キン、とコインを弾く音が響く。
「私の知り合いに手ぇ出してんじゃないわよ、クソ豚が!!」
彼女の異名の由来が、音速の三倍で牙を剥いた。
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yuumin^_^ - 続きこーしんしてくださると夏休みの宿題がはかどりますゥいつまでもいつまでも待ってますゥ！ (2022年8月12日 11時) (
レス) @page11 id: 79387fae85 (このIDを非表示/違反報告)
ガウェン・ララン - まだですか？待ってるよ！ (2018年3月17日 13時) (レス) id: 57c12d23b9 (このIDを非表示/違反報告)
ムスカ(ﾊﾞﾙｽしないで)(プロフ) - 続編おめでとうございます!!
これからも、応援してます!! (2017年8月15日 23時) (携帯から) (レス) id: 73140b95f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：菊桜 | 作成日時：2017年8月14日 14時
