9話 by.リオン ページ9
「ベレッタ…帰って来てないのか?」
夕陽で赤く染まった路地裏にイルーナの独り言が響いた。
「…また街へ行っているのか?」
ベレッタは何も言わず、何処かへ出かける事がある。何処へ行ったかは兄弟にも言わない為、探しようがない。
「う〜ん…心配だね。私が街を探してくるよ」
特にすることも無くぼんやりしていたので丁度いい。
__?
イルーナに了承を得て街へ行こうとした時、後ろから何かがぶつかってきた。
「おにーちゃん!僕達もおねーちゃん探しに行くの、着いて行って良い?」
振り返ると、ショコラとリリィが服にしがみついていた。にこにこと笑いながら言ってきた弟妹に私が断れる訳もない。
笑顔で腰を屈めて両手を差し出すと、意図が分かったらしい2人は片手ずつ手を握った。
街へ出る時は、ほぼ必ず手をつなぐようにしている。彼等はまだ幼いし、攫われでもしたら大変だから。
「ショコラ、リリィ。ベレッタお姉ちゃんを探してね。其れと、この手は絶対に離してはいけないよ?」
2人に言い聞かせてから、路地裏を出ようとした時だった。
?…血の…臭い?まさか…⁉︎
嫌な予感がして、血の臭いを辿り、2人を連れて走る。
「頼むから…気の所為で……⁉︎」
その時目にしたのは、最悪の光景だった。
「ベレッタ……?っっベレッタ‼︎」
血だまりに倒れる姉のもとへ、駆け寄る。
「おにーちゃん?おねーちゃんはどうしたの……?」
「…ごめん。2人とも、少し後ろを向いていて」
まだ幼いショコラとリリィの眼には入れない様にしてから、ベレッタの傷口を見る。
傷は…肩が一番深いか……。
目を背けたくなるような傷口に触れない様気をつけて、そっと抱き上げた。
「ショコラ、リリィ。みんなの所へ帰るよ」
いつもと違う、只ならぬ状況を察してか、真面目な顔で頷いた2人を確認して、路地裏を走り抜ける。
エルとイルーナの所へ戻り、イルーナの知識を借りれば応急処置は出来るだろう。でも、それでは助からないかも知れないという事は、医学の知識がない私でも分かる。
……どうしよう…どうしようどうしようどうしよ__
もし、ベレッタが居なくなったら……
「お願いだから…死なないで…」
1人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
珠雨(プロフ) - 終わりました。夜遅くにすみませんm(_ _)m (2015年9月22日 1時) (レス) id: 078e786632 (このIDを非表示/違反報告)
珠雨(プロフ) - 編集します (2015年9月22日 1時) (レス) id: 078e786632 (このIDを非表示/違反報告)
まんり(プロフ) - 終わりました! (2015年9月21日 21時) (レス) id: 86b4ce5e2e (このIDを非表示/違反報告)
まんり(プロフ) - 編集してきます (2015年9月21日 21時) (レス) id: 86b4ce5e2e (このIDを非表示/違反報告)
まんり(プロフ) - 花柳@IN率低下さん» いないと思いますよ! (2015年9月21日 15時) (レス) id: 86b4ce5e2e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ