3話 by.リオン ページ3
「チッ…面倒な事になったな…」
独り言を呟きながら壁に寄りかかる。何でこんな事になったのか、前の豪華な服を着た男を見ながら思い出していた。
____
「ただいま!」
朝食後、弟妹達と遊んでいると、街へ出かけていたエルが紙袋を抱えて帰って来た。如何やら、紙袋の中身は鶏肉の様だ。久々の肉に弟妹達は瞳を輝かせた。
「お帰りなさい。それは如何したんだい?」
「あぁ、此れは街に行商が来てて…」
エルの話をざっくりまとめると、行商から盗んで来たらしい。
その話を聞いたベレッタの顔が、一瞬曇った。…直ぐに笑顔を見せて礼を言ったけど。
「ご苦労様。少し用事を思い出したから、次は私が街に行ってくるよ。…夕飯は期待しないでね」
笑顔で送り出してくれた兄弟に手を振りながら、路地裏を走っていく。
街に着くと、直ぐにエルが盗んだであろう露店が見つかった。
店主は私を見て、睨みつけて来た。兄弟だとばれたかな?似た服装で髪色はほぼ同じだし。
「おい、アンタさっきの男の仲間か?」
うん。やっぱりばれてたか。
「えぇ。気付いているのなら話が早いです」
にこにこと笑いながら、一気に男の手を引いた。店主が此方に倒れて来るのを受け止め、隠し持っていたナイフを首筋に当てる。
「悪いんだけど、俺達は生きる為に必死なんだ。この事は軍に相談するなよ?」
この事が軍にばれてエルが追われる事にでもあったら面倒だ。兄弟の為に、こっそり後始末するのも兄の役目なのだから。
笑顔を消して手に力を込めると、男は首をこくこくと縦に振った。
「ありがとうございます。では私はこれで」
口調を戻して男から手を離し、人混みに紛れ込む様に歩き出す。
でも見ている人がいないと思った私が馬鹿だった。
「おい、君は何してるんだ?」
私と正反対の豪華な正装に身を包んだ青年に声を掛けられてしまった。
「もしかして、君はarmの一員?だとしたら話を聞かせて欲しいんだけど」
「…見ず知らずの奴に聞かせる話はない」
何時でも逃げられる様にナイフを握り締める。
「あぁ、まだ名前を名乗っていなかったね。俺はガルク。ここの第1王子だよ」
⁉︎何で王子がこんなとこに…‼︎
運動神経には自信があるし、王子から逃げる事なら可能だろう。でも、仮に彼から逃げても軍に追われたら流石に逃げられない。
…もし、兄弟まで追われる事になったら…
結局話を聞かせる事にし、冒頭に戻る。
はぁ…俺何やってんだろ…?
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珠雨(プロフ) - 終わりました。夜遅くにすみませんm(_ _)m (2015年9月22日 1時) (レス) id: 078e786632 (このIDを非表示/違反報告)
珠雨(プロフ) - 編集します (2015年9月22日 1時) (レス) id: 078e786632 (このIDを非表示/違反報告)
まんり(プロフ) - 終わりました! (2015年9月21日 21時) (レス) id: 86b4ce5e2e (このIDを非表示/違反報告)
まんり(プロフ) - 編集してきます (2015年9月21日 21時) (レス) id: 86b4ce5e2e (このIDを非表示/違反報告)
まんり(プロフ) - 花柳@IN率低下さん» いないと思いますよ! (2015年9月21日 15時) (レス) id: 86b4ce5e2e (このIDを非表示/違反報告)
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