５ ページ5
『えっと…痛いのは生きてる証拠です！！安心してください！
王様、今、ちゃんと生きてます。』
何言ってんだ、私。
生きてるに決まってる。
「…ぶっ、くくっ‥‥何だそれ。」
突然笑いだす王様。
目を細め、笑うと四角い形になるその口はとても可愛らしく、先程までの綺麗な顔とは一変、無邪気で子どもっぽい表情となった。
「そうだね。生きてる。
痛いと思うのは生きてる証拠だね。
こちらこそ、ごめん。
ちょっと、寝ぼけてしまったみたいだ。」
ベッドから降りて立ち上がり、私の前へとしゃがみ込む。
「その顔を上げて。俺は大丈夫だから。」
にっこり微笑む彼に、何度もペコペコと頭を下げる。
「だから、いいって。」
私の頭を両手で掴み、自分の方へと向かせた。
その綺麗な瞳と再び目が合う。
「…あれ、君は、」
『私はユンギ先生の弟子でして、今日はユンギ先生がどうしても行かないと、…いや、急患がいまして、今助けなければ命が危ないくらいの大怪我を負っておりまして、』
「…ふっ、君、嘘が下手だね。
いいよ。ユンギのことは昔から知ってる。
どうせ、また眠っているんでしょ？」
あ、バレてる。
「俺のことは…知ってる？」
『存じ上げて‥‥います…多分。
王様ですよね？』
「…あぁー…そう。やっぱり覚えてないか。」
『へ？』
覚えてない？
私、王様とどこかで会ったこと…ないな。うん。ないない。
こんな綺麗な顔に出会っていたら、嫌でも忘れられないと思う。
「うん。俺は王様だよ。名前はキム・テヒョン。
まぁ、気軽にテヒョンって呼んでよ。」
『気軽に呼べるわけがないでしょう。
私は、Aと申します。』
TH「A…？」
ポツリと、私の名前を口にした。
そういえば、先程、私の名前を呼んでいたはず。
私、やっぱりこの人にどこかで会っているのかな？
でも、私の名前を今初めて知ったとでも言うような反応。
この王様、よく分からない。
TH「…そうなんだ。Aって言うんだ。
良い名前だね。俺、その名前好きだよ。」
『そう、ですか？
…私は、この名前が大嫌いですけどね。』
TH「名前は、お父さんやお母さんからの初めてのプレゼントでしょ？
そんな、嫌いだなんて言わないの。」
『そんな綺麗なもんでもないですよ、親子って。』
TH「そうかな。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1938人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
のぞみ(プロフ) - ユンギ先生の悪い顔。。。控えめに言って好き。あーあーあー幸せ。 (2021年2月10日 0時) (
レス) id: 6ce2d3bb22 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)あねら(プロフ) - まゆうさんの作品本当に大好きです（ ; ; ）いつも読ませていただいてます。これからも頑張ってください！ (2021年2月5日 1時) (レス) id: 83ec8b03b3 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ - 王様いろんな女の人と毎日のようにって、もう〜。グクにもヌナが居て満たされていたし。一方でジミンさんはどんな感じだったんでしょうか。ジミンさんにも浮いた話があれば良いな、いつも切なそうだから気になってしまいました。 (2021年2月4日 10時) (レス) id: 26ef055a5c (このIDを非表示/違反報告)
ななこ(プロフ) - この物語本当好きです、、毎回更新されるたびにどきどきしてます。これからも楽しみにしてます...!! (2021年2月3日 21時) (レス) id: 2505ec8573 (このIDを非表示/違反報告)
のぞみ(プロフ) - あぁ、苦しい、苦しいよまゆうちゃん。このシリーズはほんと切ない。でも好きなんだ。好きなんだよ。まゆうちゃん。サランへ (2021年2月3日 2時) (レス) id: 6ce2d3bb22 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まゆう。
| 作成日時：2021年1月14日 21時
