クリスマスは両手に花を 〔双黒〕 2 ページ25
* * *
「あ〜ぁ、治ってばこんなところで寝ちゃったよ」
Aは片手で弟の頭を撫でながら、中也に笑いかける。
「Aさん、俺もそろそろ帰るぜ?」
「えっ、もう帰っちゃうの?」
「あァ。明日もガッツリ仕事だからなァ」
「クリスマスなのに…マフィアってブラック…。でもさ、も少し良いでしょ?」
「どうしたンだよ。今日は妙に引き留めるじゃねぇか」
「だって中也くん、判ってないんだもん」
「?」
「私、中也くんのこと大好きなんだよ?」
「それは知ってるって…」
「そうじゃなくって!
…去年も一昨年も、治に会えないクリスマスパーティー2人でしたの、覚えてる?」
「あァ。Aさんが弟が居ねぇと寂しいって云うから」
「うん。
私はね、治を理由にしなくても会えるようになりたいの」
「会えばいいじゃねぇか」
「そーじゃないよ!鈍いなぁ、中也くん。
つまり、"治のお姉ちゃん"じゃなくて、"太宰A"として中也くんに会いたいの。…云いたいこと、伝わってる?
そういう意味で、私は中也くんが大好きだよ」
中也に向かってにっこりと微笑むAは、そのときは確かに、中也しか見ていなかった。
とうに0時は過ぎている。
「な…るほど、な。あァ、俺も好きだ、Aさ…いや、A」
「! 嬉し…ずっと、そう呼ばれてみたかったの」
2人の間に甘い空気が漂い、おもむろに2人の唇が重なろうとしたその瞬間、Aの体がぐいっと後ろに引かれた。そんなことをする犯人は1人しかいない。
「させないから」
不機嫌そうに_いや、実際不機嫌にそう云い、太宰は体を起こした。
「中也なんかに姉さんは___…いや、Aは渡さない」
「治…」
「たとえAの"好き"を否定したとしても」
「…治が中也くんを嫌いなのは知ってるよ?でも、そんなに怒るくらい、嫌?」
「嫌だよ!!誰にも姉さんは渡さない!!
だって…!だって……!!」
太宰は珍しく感情を荒立て、泣き崩れた。Aに手を宛がわれてその頭を抱かれ、Aの肩口に顔を埋めた。
「だって、私が…!僕が一番姉さんを好きで、僕が一番姉さんを知ってて、僕が一番姉さんを愛してるのに…!」
「知ってる。判ってるよ。お姉ちゃんはちゃぁんと知ってる。昔の治も、今の治も、ずっと私を愛してくれていること。誰よりも治を理解してるつもりだもの。私だって治を愛してるし、私の一番はいつも治。中也くんと治だったら、思わず治をとっちゃうくらい」
「(おい…)」
ーーー
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嘘吐き姫(プロフ) - 大丈夫ですよ。了解致しました、謹んで書かせていただきます。レスありがとうございます! (2020年2月4日 16時) (レス) id: 346988f6d0 (このIDを非表示/違反報告)
リアビーバ- - あっ!すみません・・・コメントできなくて・・・!えっと夢主ちゃんは二人の想いに気づいてないほうがいいです! (2020年2月4日 15時) (レス) id: fa2d4be8dc (このIDを非表示/違反報告)
嘘吐き姫(プロフ) - リアビーバ-さん» どちらでも大丈夫でしたら、私が勝手に書いちゃいます…。 (2020年2月3日 23時) (レス) id: ad6d962da2 (このIDを非表示/違反報告)
嘘吐き姫(プロフ) - リアビーバ-さん» 最後は夢主ちゃんは二人の想いに気づいた方がいいですか?それとも、気づかないまま…ですか? (2020年2月1日 16時) (レス) id: ad6d962da2 (このIDを非表示/違反報告)
嘘吐き姫(プロフ) - リアビーバ-さん» リクエストありがとうございます、承りました! (2020年2月1日 16時) (レス) id: ad6d962da2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:嘘吐き姫 | 作成日時:2019年10月14日 15時