ツンデレ嬢のデレ期 〔黒太宰〕 2 ページ20
今度こそ私は確信した。今日のAは「デレ期」だ。
そう判ってしまえば、多少ペースは乱されるものの、いつもの調子が取り戻せそうだ。
「勿論。おいで、A。今日は朝から甘えたさんだね」
「んぅ…」
上体を起こして迎えるように手を伸ばしてやると、桜色の唇が降ってくる。
私が云うとしてくれるいつものキスと同じ、触れるだけの幼いキス。それだって、いつもは自分からしたいなんて口が裂けても云うまいとするAなのだから、「デレ期」、最高。
なんて考えながらAの甘いキスを受けていると、私の唇が湿らすようになぞられた。そして無防備なその唇を割って、私の口内に何かがぬるりと侵入してきた。
「!!?」
え……はあぁ!?
こ、こんな…奇跡みたいなことってあるのかい!?これ現実!?
薄く目を開けてみれば、慣れないことに奮闘するAの表情。
あ〜〜〜!可愛い!!
私がAの口内に舌を侵入させて逆襲を試みると、
「ん、はぁ………っ!んん、ふ…ぁ……」
と、これまたちょっと扇情的な反応。
いつまでもこのままでいたい気持ちは山々だが、今は朝。これから忌々しい仕事が待っている。私はサボっちゃっても善いのだけれど、姐さんに怒られるのは御免だ。
…蛞蝓に全部押しつけたい…。
名残惜しくも、Aをそっと剥がす。
すると寂しそうに眉を下げるA。いつもはハッとして我に返ってしまう
私はAの耳に唇を寄せて吐息とともに囁いた。
「A。…続きは今夜___ね」
ビクリと肩を揺らしたAは、紅い顔で首肯した。
今夜は織田作たちの処には行けそうにないな…。
* * *
朝支度を済ませて私の執務室に向かっている途中、中也と会ってしまった。
「うわ…朝蛞蝓…。視力が低下していくのを感じるよ」
「誰が朝蛞蝓だ、この糞鯖が。視力なんざ低下させと…け……」
私を睨んでいた中也が、私の隣のAに視線を移した。
中也は、文字通り5秒くらい固まった。そのまま心臓麻痺で死ねば善かったのに。
「中也くん?大丈夫?」
そう云って中也の眼前で右手を振るAの左手は、私の右手と繋がれている。
もう一生このままでいたいのだけど。
ーーー
次へ…
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嘘吐き姫(プロフ) - 大丈夫ですよ。了解致しました、謹んで書かせていただきます。レスありがとうございます! (2020年2月4日 16時) (レス) id: 346988f6d0 (このIDを非表示/違反報告)
リアビーバ- - あっ!すみません・・・コメントできなくて・・・!えっと夢主ちゃんは二人の想いに気づいてないほうがいいです! (2020年2月4日 15時) (レス) id: fa2d4be8dc (このIDを非表示/違反報告)
嘘吐き姫(プロフ) - リアビーバ-さん» どちらでも大丈夫でしたら、私が勝手に書いちゃいます…。 (2020年2月3日 23時) (レス) id: ad6d962da2 (このIDを非表示/違反報告)
嘘吐き姫(プロフ) - リアビーバ-さん» 最後は夢主ちゃんは二人の想いに気づいた方がいいですか?それとも、気づかないまま…ですか? (2020年2月1日 16時) (レス) id: ad6d962da2 (このIDを非表示/違反報告)
嘘吐き姫(プロフ) - リアビーバ-さん» リクエストありがとうございます、承りました! (2020年2月1日 16時) (レス) id: ad6d962da2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:嘘吐き姫 | 作成日時:2019年10月14日 15時