君の言葉で 〔太宰〕 ７ ページ17
* * *
帰宅後、治は遣りすぎなほどに私を気遣ってくれた。
けれど一つだけ、治も我慢出来なかったようで。
いつもより大分早めの就寝前、治は私に云った。
「A、私に云っていないことがあるだろう?」
「…やっぱり、聞いちゃった?」
「うん。ナオミちゃんから」
「そりゃそうだよね。私も云いたいことがあるなんて云っちゃったし、緊急事態だったし」
「そうだよ。……あぁ、そういえば、携帯、新しくしないとだねぇ」
「そうだった!」
いまいちどうしたらいいか判らない会話の中で、思わず話題が横道に逸れる。
会話が途切れ、微妙な空気が流れてしまう。
どうすればいいんだろう。嬉しい報告をするのだから、もっと楽しく云いたかったのに。
「あの…ごめんなさい、治。私の不注意で、私だけじゃなくて、もう一つの命まで危険に晒して…」
「うん…。じゃない、違う。私は君に謝って欲しくなどないよ。Aたちが危険な目に遭ったのは
それに…私は君を守りきれなかったのだよ。それが悔しい。
ごめん、A」
そんなことない、と否定しようとした私の口が開きかけたとき、「云わせない」とでも云うよように、治は次の言葉を口にした。
「それと、私がAから聞きたいのは…」
その先は、何となく察しがついた。
「でも、ナオミちゃんから聞いたんでしょ?」
「うん。でも…
私は、Aの口から直接聞きたいのだよ。君の言葉で…。
私に、愛してるって云わせてくれ給えよ」
「ふふ、それは毎日云ってくれるじゃない。
_____私、治の子を妊娠したよ。私はこの子を産みたい…ううん、絶対に産む。
私が一度決めたら曲げないの、治も知ってるでしょ?」
私は瞳に、誰より強く、いつより輝く意志を燃やした。
「うん。勿論、A…! ありがとう。
愛してる」
治は私を強く抱きしめて、今までで一番優しく、決意を込めた声でそう云ってくれた。
…その声がちょっと震えていたのは、今日は聞かなかったことにしてあげる。
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嘘吐き姫(プロフ) - 大丈夫ですよ。了解致しました、謹んで書かせていただきます。レスありがとうございます! (2020年2月4日 16時) (
レス) id: 346988f6d0 (このIDを非表示/違反報告)
リアビーバ- - あっ！すみません・・・コメントできなくて・・・！えっと夢主ちゃんは二人の想いに気づいてないほうがいいです！ (2020年2月4日 15時) (レス) id: fa2d4be8dc (このIDを非表示/違反報告)
嘘吐き姫(プロフ) - リアビーバ-さん» どちらでも大丈夫でしたら、私が勝手に書いちゃいます…。 (2020年2月3日 23時) (レス) id: ad6d962da2 (このIDを非表示/違反報告)
嘘吐き姫(プロフ) - リアビーバ-さん» 最後は夢主ちゃんは二人の想いに気づいた方がいいですか？それとも、気づかないまま…ですか？ (2020年2月1日 16時) (レス) id: ad6d962da2 (このIDを非表示/違反報告)
嘘吐き姫(プロフ) - リアビーバ-さん» リクエストありがとうございます、承りました！ (2020年2月1日 16時) (レス) id: ad6d962da2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：嘘吐き姫 | 作成日時：2019年10月14日 15時
