【鬼滅の刃】風柱は鬼を救いたい

#_67 ページ24

Asaid




女の治療技術は中々のもので、傷だらけだった実弥の体は清潔感のある包帯が巻かれている。

顔にかかる前髪を払ってやれば、一瞬顔を顰めたがまた静かに眠った。









(･･･綺麗な顔ね)







眠る彼は本当に綺麗な顔で。
いつもイライラしていているとは考えられない顔だ。
包帯には、血が滲んでいて。






(ああ、もう、)






なんて美味しそうな匂いなのだろうか。
今なら彼を食い殺すことも容易い。
人の肉なんてあの日、気が狂って食った女だけ。私が我慢していた期間を考えれば、あんなもの前菜にもならない。


正直、御館様とやらとの約束は私にとっては辛すぎる。実弥が血をくれるとはいえ、飢餓状態は続いているし限界なんてとっくに超えている





･･･でも、






私はもう彼を食べれない。







これは、契約だから、というわけでなく。
私の意思で、彼を食べたくないと思っている。








(食料として好きだったのにな･･･)







報われない感情には、気が付かない方がいいのに。

#_68→←#_66

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す