ベビーブーム3 ページ4
「巣箱って、鳥にとっては家でしょう？家―――私達の場合はこのお城ね。家は世界中のどこよりも自分が寛げる、穏やかな気持ちになれる場所。国の人々にとってそんな存在になって欲しいと思ったの。勿論、いつか出会う、この子にとって誰よりも大切な人にとってもね」
そう言ってグレイグを見た。
グレイグも嬉しそうに、同時に少し照れた様に頬を赤らめる。
即位してまだ数年だけど、立派にもう国王ね、とAは思った。
愛娘だけではなく、国民の事もきちんと考えている。
デルカダールの平和は長く続きそうだ。
そんな事を考えていると、傍らでホメロスが口を開いた。
「娘も良いな。勿論息子も可愛いが」
それを聞いたAは、一瞬くすりと笑った。
結婚前ならば絶対に聞く事のできなかった言葉だ。
元来子供が苦手なホメロスだが、息子を授かってから心境に変化が出て来たのだろうか。
「そうね、可能なら女の子を育てる経験もしたいわね」
Aも同意した。
子供への愛情と母性が、心の内側からとめどなく溢れてくる。
「もし女の子を授かれたら、フォリア姫様の侍女になる様に育てようかしら。マルティナと私の様に、身分を越えた親友になれるなら嬉しいけれど」
「ええ、素敵！親子でそうなれたら嬉しいわね」
手を取り合って子供の将来に花を咲かせる母親同士に、呆れた様な声が掛る。
「それも良いが、まずはエリオスを騎士に育てる事を考えねばならぬだろう」
ホメロスの言葉にAもマルティナも、はっと我に返る。
「それもそうね……」
「まあ、エリオスがそれを望むのなら、だがな。他に望む道があるのなら、それを後押ししてやりたい」
そう言うホメロスの表情は、春風の様に穏やかだ。
マルティナもグレイグも、ゆっくりと頷く。
「いいと思うわ」
「お前も父親としての貫禄が出て来たな、ホメロス」
「うるさい」
ぷいと横を向くホメロスの顔が、微かに紅く染まっている事にAは気付いた。
だがそれは自分だけの秘密にしておこうと思う。
「ニズゼルファがいなくなって、世界は平和になったんだもの。騎士は勿論大事な仕事だけど、他にも選択肢はあっていいわよね」
Aがそう言うと、マルティナはくすりと笑った。
「ねえA、この子を抱いてあげてくれる？」
「ええ、有難う」
マルティナの手からフォリアを託され、そっと抱く。
生まれたばかりのエリオスと同様、赤子は柔らかく、温かかった。
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遠山すずか(プロフ) - リスタさん» リスタ様、コメント有難うございます！当小説を読んで頂けてとても嬉しいです^_^不定期ですがこれからも更新頑張ります。 (2022年9月7日 10時) (
レス) id: 370e3ef134 (このIDを非表示/違反報告)
リスタ - 初コメ失礼します！ほとんど見ました！面白いです♪ (2022年9月6日 23時) (レス) id: 85e8ed9632 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：遠山すずか | 作成日時：2022年8月13日 3時
