現在編５−疑惑１― ページ13
「イレブンが……っ、イレブンが悪魔の子だなんて、何かの間違いよっ」
そう泣きじゃくりながらAに話してくれたのは、勇者イレブンの幼馴染だと言うエマと名乗る少女だった。
柔らかそうな蜂蜜色の髪をしたその少女を始め、イレブンを育てた母親ペルラ、村長でありエマの祖父でもあるダン老人…
彼らの口から聞く話は無邪気な少年だった頃のイレブンの話ばかり。悪魔の子とそれを育てた人々にはとても思えない。
グレイグもそれを察し、普段王命を最優先としていても村人の命を奪う事まではしなかったのだろう。
悪魔の子に騙されていた気の毒な善良な人々、とでも思ったのかもしれない。
だがAとしては、玉座の間での王の言葉に引っ掛かりを覚えていた。
『勇者こそが邪悪なる魂を復活させる者！勇者と魔王は表裏一体なのじゃ！』
勇者が誕生するのは魔王を倒すためのはずだ。
勇者の誕生と同時に魔王が現れると言う知らせも意味するのだから、喜ぶ人々と同時に不安に感じる人々がいても無理はない。
でも勇者が魔王を復活させると言う見解はどうなのだろう。
正直、それに対し王は聡明な方と豪語するグレイグにも、頭の片隅で呆れたが。
そこまで考えて、Aはちょうど16年前のその頃から、デルカダール王が苦手になった事を思い出す。
厳しいけれど寛大で、身分の違うAにも分け隔てなく接してくれる王だった。
だがマルティナの死を知らされたあの日から表情が険しくなり、どこか冷酷さを感じさせる様になった。
勇者について真逆の考えを述べる様になったのもその頃からだ。
そうこう考えながら歩いているうちに、額にカツンと冷たく硬い感触が当たった。
「いたっ」
「浮かない顔だな、A」
目に入ったのは見覚えのある白銀の鎧。見上げれば鎧同様に見知った顔がある。
「ああ、ホメロス…」
そこまで言ってAは、はっと気づいて辺りを見回す。他には誰もいない事を確認すると心の中で安堵した。
公の場では、軍師と一兵士の境界線は絶対に越えない様普段から心がけていた。
「盗賊を逃がした事を悔いているのか」
「ええ、まあ…」
相変わらず察しのいい男だ。それなら話は早い。
「私にも盗賊と悪魔の子を追わせて欲しいの。2人は一緒に逃げたのでしょう？なら片方捕まえれば両方捕まえられるはずよ」
「その必要はない」
Aの申し出をホメロスは一蹴した。
「なぜ？」
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遠山すずか(プロフ) - りぃんさん» りぃん様、最後まで読んでいただきありがとうございました！またお気遣いのお言葉も、本当に嬉しく思います。短編の方も頑張って更新していきますので、またよろしくお願いいたします。 (2018年5月25日 16時) (
レス) id: 1a8ae502d9 (このIDを非表示/違反報告)
りぃん(プロフ) - 完結おめでとうございます！お体を優先に気長に短編お待ちしております。本当に大好きな作品でした。 (2018年5月25日 16時) (レス) id: 7ca0ccb51c (このIDを非表示/違反報告)
遠山すずか(プロフ) - りぃんさん» りぃん様、コメントありがとうございます。ホメロスへの救い欲しさが募り、この連載の執筆に至りました。楽しみにして頂いているとの事、とても嬉しいです！頑張って更新していきたいと思います。これからもよろしくお願いします。 (2018年5月14日 10時) (レス) id: 1a8ae502d9 (このIDを非表示/違反報告)
りぃん(プロフ) - 初コメ失礼します。この小説とても楽しみに読ませて頂いてます！更新頑張ってください！ (2018年5月14日 10時) (レス) id: 7ca0ccb51c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：遠山すずか | 作成日時：2018年4月26日 18時
