現在編６−追跡− ページ14
「グレイグがその為に神殿へ向かったからな。お前の言う様に片方を捕まえればもう片方も捕まえられる。以前盗賊が盗んだレッドオーブをまた盗みに来るのを見計らい、王を通して伝えた」
「そう、グレイグが…」
察しが良い上に手回しも早い。
自分も出向きたいと言う考えはまだあったが、ホメロスの策を携えてグレイグが向かったのなら、自分と言う要素が加われば却って邪魔になってしまうだろうとAは考える。
Aはじっとホメロスを見あげた。
「血の通わない冷たい目をした将軍」とエマは言った。
まあ的を射た発言だとは思う。
事実グレイグと並んで双頭の鷲と言われていると同時に、「冷徹なる軍師」の通り名を持つのがホメロスだ。
この切れ長の琥珀の瞳で射抜かれたら、焼け付く息でも浴びたかの様に身動きできなくなるだろう。
そう理解しながらも、王とは対照的にホメロスをそれほど怖いとはAは思えなかった。
魔物でも人でも、容赦なく敵を切り伏せる姿を何度も目にし、それが当然だと理解しながら畏怖している兵士も多いと言うのに。
「何を見ている？」
不躾なAの視線に、ホメロスが形の良い眉をひそめて問うてきた。
「あ、ごめん」
慌てて謝ると、口の端を上げてからかう様に言ってきた。
「私に色仕掛けをするつもりか？」
「違うわよ。今貴方に色仕掛けする理由なんてないじゃない」
「そうか。師である私を越えるために挑むのかと思ったが残念だ。独り立ちはまだ先の様だな」
「ご心配なく。近いうちに越えてみせるわ、ホメロス先生」
だがその数日後、ホメロスが更に深く眉をひそめる事態が起きた。
グレイグの追撃をかいくぐり、デルカコスタ地方最東端にある旅立ちのほこらから消えたのだ。
取り逃がした悔しさと王の期待に応えられなかった不甲斐なさで顔をしかめる将軍2人に対し、Aは今度こそと悪魔の子及び盗賊の追跡を申し出た。
すぐには許可してもらえなくても何度でも頼むつもりでいたが。
「いいだろう」
短く、厳かにホメロスはAの追跡を認めた。
「必ず悪魔の子を捕えるぞ！！」
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遠山すずか(プロフ) - りぃんさん» りぃん様、最後まで読んでいただきありがとうございました！またお気遣いのお言葉も、本当に嬉しく思います。短編の方も頑張って更新していきますので、またよろしくお願いいたします。 (2018年5月25日 16時) (
レス) id: 1a8ae502d9 (このIDを非表示/違反報告)
りぃん(プロフ) - 完結おめでとうございます！お体を優先に気長に短編お待ちしております。本当に大好きな作品でした。 (2018年5月25日 16時) (レス) id: 7ca0ccb51c (このIDを非表示/違反報告)
遠山すずか(プロフ) - りぃんさん» りぃん様、コメントありがとうございます。ホメロスへの救い欲しさが募り、この連載の執筆に至りました。楽しみにして頂いているとの事、とても嬉しいです！頑張って更新していきたいと思います。これからもよろしくお願いします。 (2018年5月14日 10時) (レス) id: 1a8ae502d9 (このIDを非表示/違反報告)
りぃん(プロフ) - 初コメ失礼します。この小説とても楽しみに読ませて頂いてます！更新頑張ってください！ (2018年5月14日 10時) (レス) id: 7ca0ccb51c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：遠山すずか | 作成日時：2018年4月26日 18時
