現在編30−決着、そして新たな旅立ち― ページ38
唖然とする一行を背後から、呼びかかる声があった。
振り向いた一行が見たのは、デルカダール城にて斃したはずのウルノーガ。
驚きを隠せない彼らの視線をウルノーガは冷静に見つめ返し、自分は預言者と呼ばれていると名乗った。
自分に対するイメージに応じて、自分の姿は変わるのだと話し、次の瞬間、霧に包まれたかと思うと預言者は美しい女性に姿を変えていた。
そして勇者たちが次に赴くべき場所を仄めかす様な言葉を残し、預言者は姿を消した。
既に心得顔のイレブンは、ベロニカから預かった笛をその場で吹き始めた。
すると空のどこからか、美しい羽根を携えたクジラが出現したのである。
空飛ぶクジラ――ケトスと言うらしい――に乗り、一行は次の目的地へ向かう前に一旦デルカダール城に戻った。
事の次第を報告した後、軍師ホメロスとその補佐として、Aも国に残る様にとの命を受けたのである。
当分はデルカダール王城にて書類に案をまとめる作業をする予定だが、必要に応じてイシの村に赴く事も出てくるだろう。
「何だか16年前を思い出すわね。あの時はこんなに長い別れになるとは思っていなかったわ」
「そうね。でもあの頃とは違うもの。私には信頼できる仲間がいる。私自身も強くなったのだから。帰ってきて落ち着いたら、平和になったロトゼタシアを回りましょう?」
「ええ!きっと帰ってきてね」
「もちろんよ。その時にはホメロスとの話も聞かせてちょうだいね」
「ええっ!」
マルティナに片目を瞑りながら言われ焦るA。
追い打ちをかける様にシルビアにまで話をせがまれた。
「そうよ、お仕事だけじゃなく、ホメロスちゃんとの愛もしっかり育まなきゃダメよ!帰ったらアタシもコイバナに混ぜてもらうわ」
「むしろそれも貴方のお仕事よ、Aさん!この戦い終わった後の楽しみにしてるからね!」
「ダーハルーネのスイーツも、沢山持ってお伺いしますわ」
「キャー!オンナ5人でのコイバナティーパーティーなんてワクワクしちゃう!!」
思わず後ずさるAを、逃げるなと言わんばかりに背中から受け止める腕があった。
「姫さま、勝利の凱旋、心よりお待ちしております。グレイグ、デルカダールの盾を持つ者に恥じぬ働きをして来い」
「もちろんだ、ホメロス。城の守りは頼むぞ」
拳を合わせる双頭の鷲。
互いの胸には、揃いの誓いのペンダントが輝いていた。
「イレブンよ、お前の『2つの』故郷の復興に尽力する役目も、責任を持って果たそう」
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遠山すずか(プロフ) - りぃんさん» りぃん様、最後まで読んでいただきありがとうございました!またお気遣いのお言葉も、本当に嬉しく思います。短編の方も頑張って更新していきますので、またよろしくお願いいたします。 (2018年5月25日 16時) (レス) id: 1a8ae502d9 (このIDを非表示/違反報告)
りぃん(プロフ) - 完結おめでとうございます!お体を優先に気長に短編お待ちしております。本当に大好きな作品でした。 (2018年5月25日 16時) (レス) id: 7ca0ccb51c (このIDを非表示/違反報告)
遠山すずか(プロフ) - りぃんさん» りぃん様、コメントありがとうございます。ホメロスへの救い欲しさが募り、この連載の執筆に至りました。楽しみにして頂いているとの事、とても嬉しいです!頑張って更新していきたいと思います。これからもよろしくお願いします。 (2018年5月14日 10時) (レス) id: 1a8ae502d9 (このIDを非表示/違反報告)
りぃん(プロフ) - 初コメ失礼します。この小説とても楽しみに読ませて頂いてます!更新頑張ってください! (2018年5月14日 10時) (レス) id: 7ca0ccb51c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:遠山すずか | 作成日時:2018年4月26日 18時