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その日の私はいらだっていた。

いつも書いている日記がまったくと言っていいほど進まないのだ。

「マイ〜」

いつものようにユイが呼びに来る。

「今行く。」

少しイライラしたまま下へ行く。

周りから見れば、なんだそんなことでイライラしてるのか、と言われてしまいそうなくらい

些細なことだった。それでも、私にとってはイライラするような大きなことだった。

下に行くと皆がいつものように笑顔で座っていた。

いつもと同じような笑顔のはずなのに私を嗤っているように思えてしまい、もっとイライラする。

こうなってしまうと手を付けられなくなってしまうのは私も、みんなも、分かっていた。

「マイ、遅いぞ。」

ケイがいつものように注意してくる。

それにすらイライラして無言で席につく。

ケイのため息が耳に届いた。みんなは私がこうなるのにも慣れていた。

『いただきます。』

そして、いつものように食事が始まる。

イライラしすぎているのか周りの音がぼやけて私をすり抜けていく。

脳裏に映るのは今日見た嫌な夢の光景。

今日の夢はやけに鮮明だったなあ。頭から離れないや。

私は息を吐いて嫌な気分を追い出す。

私の機嫌が悪くなる前は決まってある夢を見ている。

黒い髪をした女の人が私の方を見て『ふざけるな!来るんじゃない!』と必死の形相で叫んでいる。

その姿はまるで、いや、まさに「鬼」だった。

その夢を見た朝は決まって泣いていた。

この夢はお母さんが私たちを拾った時のことを話さないこととなにか関係があるのかな。

あの黒髪の女の人は誰なんだろう?

お母さんは何か知っているかもしれない。

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作者名:夕由 | 作成日時:2018年6月6日 17時

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