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リビングに戻ると健永が満面の笑みで俺に手招きをした。
「じゃーん!見て!これ!」
健永が両手で示すテーブルの上には、たくさんの美味しそうな料理が並んでいる。
「おー!うまそー!」
「でしょでしょ!高嗣が好きそうなのはこれかなー?」
って健永が指さすのは、まさに俺が一番に目を付けた料理でテンションが上がる。
「マジそれが一番旨そうだって思ったわ」
「やっぱり?!だよね!俺が作ったー」
嬉しそうに笑う健永が素直で可愛くて、俺も嬉しくなる。
朝と同じ席に皆座って、またミツの号令で「いただきます」
「あ。…これ好きだわ。美味い」
「それ、ミツが作ったやつね」
ガヤの言葉に返したのはわったー。
それにガヤは隣のミツに視線を送る。
ミツはちらっとガヤを見て視線を合わせると、ふふっと嬉しそうに笑った。
そのくせに、
「よこーさんの言うとおりに作っただけだから」
なんて素っ気なく言うミツ。
そんなミツにガヤは「うん」って頷くだけ。
でもその表情は優しくって嬉しそうに口に運んでいる。
二人とも照れ屋だからなー。
でも、きっとそのやりとりだけで二人には通じるんだ。
「ねぇ・・・」
「あ、うん」
ガヤがミツに声を掛けると、ミツは水のペットボトルからガヤのグラスに水を灌ぐ。
「ありがと」
「ん。」
俺たちの前だから、きっとそうなんだろうけれど、ほとんど目を合わせない二人。
でも、ちゃんと分かりあってる二人。
「なんかすごいな〜」
自分の心の声が漏れたかのように言葉を発したのは健永だ。
健永はじーっと二人を見ながらしみじみと言った。
「なんだよ?」
ミツが口をもぐもぐさせながら健永を見る。
「だってさぁ、二人は全部を言葉にしなくても分かるじゃん?それってやっぱり積み重ねなの?」
「あ〜・・・う〜ん。たぶん」
首をこてんと倒しながら、ミツが答える。
ガヤはやっぱりちらりとミツの横顔を見ている。
「俺たちもそうなれるかな?」
健永がそう問うとミツはちらっとガヤを見た。
すると健永に視線を向けたガヤが口を開いた。
「なれるよ。好きでいたらなれる。だって、好きな人のことは知りたいから」
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ちひろ(プロフ) - お久しぶりです。読むの遅くなってすいません!完結ありがとうございます! (2018年12月9日 22時) (レス) id: 6f10efbcbd (このIDを非表示/違反報告)
まゆか(プロフ) - yikumiさん» yikumiさん、こんにちは。コメントありがとうございます。藤北、ニカ千と違った雰囲気を感じ取っていただけて嬉しいです。どちらのカップルもそのカップルならではの幸せを掴んで欲しいですよね。こちらこそ、有難うございました! (2018年8月17日 1時) (レス) id: 0ad3d6ba9b (このIDを非表示/違反報告)
yikumi(プロフ) - まゆかさん、こんにちは。完結おめでとうございます。ニカ千も藤北も大好きなので、とても楽しく読ませて頂きました。藤北の物理的には遠いようで心は通い合っている感じ、ニカ千の可愛らしくて素直な感じ、どちらも素敵で幸せになって欲しいです。有難う御座ました。 (2018年8月16日 9時) (レス) id: b2d5f85776 (このIDを非表示/違反報告)
まゆか(プロフ) - きいこさん» きいこさん、初めまして。コメントありがとうございます。楽しみにしてくださって嬉しいです!更新再開したわりにあっさり終わりますが、読んでやってくださいね。 (2018年8月16日 1時) (レス) id: 0ad3d6ba9b (このIDを非表示/違反報告)
まゆか(プロフ) - クッキーミントさん» クッキーミントさん、初めまして。コメントありがとうございます。せっかく読んでいただいてたのに更新遅くなってすみません!やっと完結なのでよろしくお願いします。 (2018年8月16日 1時) (レス) id: 0ad3d6ba9b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まゆか | 作成日時:2016年7月3日 17時