展望台へ ページ4
「はい、到着。
寒いと思うけど大丈夫？」
夜景の見えるレストランから少し移動した展望台の駐車場。
さすがにこんな寒い時期に他に来てる人なんかいなくて貸し切り状態。
「うん、せっかくだしちょっとだけ降りてみようよ」
自分が連れて来たくせに寒さに少し億劫になりかけてた気持ちを奮い立たせ、助手席に回ってエスコート。
「うわぁ、思ってたよりもっと寒い…
はい、足元気をつけてくださいね。」
「ありがと。
うわほんと、寒いね。
もっと厚着して来たらよかった。」
車から降りて少し坂道を登ったところにある展望台へと並んで歩く。
寒そうに手をこすり合わせてるAちゃんの右手をとって、俺の上着のポケットに一緒に突っ込む。
「ふふ、暖かいけど歩きづらいよ。」
「いいの、Aちゃんの手が冷えちゃうでしょ」
恥ずかしいとか何とかより、何かと理由をつけてAちゃんに触れたい思春期の男子みたいな俺にとって、この寒さは2人の距離を縮めるために好都合だ。
「んー？どっちだ？
二股に分かれてる。」
「こっちじゃない？
あっち暗いしなんか道険しいよ…」
「んーーー、こっち！」
駐車場から少し歩けば着くと思っていた展望台は歩けど歩けどたどり着く気配はなく、人気も街灯もほぼない山道は違う意味で2人の心拍数を上げて距離も更に縮める。
「ねぇ、ほんとにあってる？
私肝試しとか苦手なんだよね…」
「ごめんね、こんなにかかると思わなかった。
足大丈夫？」
「うん、足は大丈夫。
あ、もうすぐじゃない？」
「あ、ほんとだ、道が開けてる！」
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作者名：ゆちぇ | 作成日時：2019年11月20日 5時
