苦くて切ない、甘い恋のお話。((S.S)) (ページ18)

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私とすばるくんは、9年前に知り合った。

その頃の私は、家庭事情に悩んでいた。

両親は離婚し、私は母親に引き取られた。でも、お母さんは、すぐに新しい人を見つけて、おまけに子どもまで身篭った。

…………両親の離婚ですら納得してないのに、再婚、親の妊娠なんて受け入れられなかった。

それに、新しい父親は、母の妊娠が分かった後くらいから、私のことを変な目で見てくるようになった。

家に帰ると、母とそいつはもう帰っていて、娘の目の前でイチャイチャする。

…………でも、私とあいつが二人になると、、、

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「Aちゃん、学校はどう？」

そいつは、私の肩を抱くようにし、肩から腰まで撫で下ろしてくる。

…………気持ち悪い。

そう思うのに、怖くて体が動かなった。

「だ、大丈夫です。」

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だんだん、家に帰るのが怖くなった。自分の家なのに、他人の家のように思えてくる。

なにより、あいつに会うのが怖い。

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…………ある日、夜の街をふらついてる時にすばるくんに出会った。

彼は、駅で一人で歌っていた。
聴いてる人は、ひとり、ふたり、、くらいで、

ずっといるわけじゃなくて、ちょっと聴いて立ち去る人が多くいた。

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でも、私には彼の歌声、歌詞、すべてが胸にささった。彼からこぼれ落ちる一つ一つの歌詞が私の足をとめた。

" 今からだ手を伸ばせつかみとるんだ
目を凝らして奪いとるんだ
戦う事恐れず心からぶつかれば
その先で花は咲くだろう～♪♪ "

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「大丈夫、すか？」

この曲を最後まで聴いた後、彼に話しかけられて気づいた。

「えっ……」

私は、泣いていた。

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