31話 ページ36
「人ってさ、そう簡単に固定観念を捨てることは出来ないんだよね」
と、テレビを見ながらそう言葉を放った。ポテチを貪りながら言っても説得力は皆無だろうが。
「って、聞いてる？」
中々返事が返ってこないので隣にいる由梨にそう問い掛けた。一応言っておくが、テレビではそんな真面目な話題はやっていない。見ている番組は、どバラエティーである。
「急にそんな事言われても……」
当たり前だが由梨は困惑していたらしい。
「何かあったんです？」
私は、はぁっと一つ溜息を付くと｢分かってないなぁ｣と言葉を漏らした。
「いやぁ、だってさ」
私はポテチを取っていた手を拭き、膝の上へ持っていくと由梨の目をしっかりと捕らえる。そんな私につられ、由梨も私に目を合わせてきた。
「私達って女同士じゃん」
まぁ、これは当たり前の事だが。｢あぁ、はい｣と由梨は言葉を返した。
「だから付き合ってるっていうことに皆疑問を抱くでしょ」
｢まぁ、そうですよね｣と由梨は少し理解を示してくれている様子だ。唯一、私達が付き合っていると知っている桃子ちゃんも初めはかなり驚いていた様子だったことを思い出す。
「だけど、同性のことを好きになるのってそんなに珍しくないよなぁって」
私の周りにも同性が好きな人は何人かいるし珍しいわけではない筈なのだが。珍しくないことに、世間の人は何でそんなに疑問を覚えるのかと思ったのだ。
しかしこの理由こそ、固定概念だと思う。
異性と付き合い、そして結婚するのが当たり前だと昔から言われてきた。異性と付き合うというのが当たり前だからこそ、同性と付き合うということに未だに疑問を抱く人がいるのだろうと。
「急に真面目にならないでくださいよ」
私はしばらくの間、1人で語っていると由梨は苦笑いでそう言葉を返した。私はここで1つ咳払いをする。
「まぁ、由梨が好きって言うのは変わらないけどね」
私は、決まった……！と心の中でガッツポーズ。
「咲良さん……」
私はどうだ、と言わんばかりのドヤ顔で由梨を見つめる。
「そんなこと言ったって奢ってあげませんよ」
「う“っ」
鋭い。鋭すぎる。
真面目な話をした後に、相手に気持ちを伝えたら絶対奢ってもらえるって桃子ちゃんが言ってたのだが。
「な、なんでバレた！」
「分かりやすすぎです」
由梨は私にデコピンをすると、気の所為か少し優しい笑顔を見せた気がした。
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ゆ - 尊い (2019年5月12日 17時) (
レス) id: 0c30cd4e30 (このIDを非表示/違反報告)
名無しのキッコーマン(プロフ) - 途中までしか見ていませんが、とても僕はこの作風好きです!これからも更新頑張ってください! (2019年5月5日 18時) (レス) id: 6ae7a02465 (このIDを非表示/違反報告)
雪見だいふく(プロフ) - ありがとう御座います！そんなこと、あるんですね笑 もしかしたらその小説の作者さんと気が合うかもしれません笑(？) (2018年12月31日 14時) (レス) id: b9c47787f2 (このIDを非表示/違反報告)
Fall ill apple(プロフ) - お気に入りさせてもらいました。余談ですが私の好きな小説の主人公(？)と同姓同名で少し驚きました…笑 (2018年12月31日 13時) (レス) id: c31f5fcd9e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雪見だいふく | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/mayu02071/
作成日時：2018年12月29日 16時
