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「もういいもん……。違うご主人探すもん」
萌花は立ち上がると、ぷいっと顔を背ける。
「ほ、ほんとごめんって」
その不機嫌さに不安を感じた私は必死に謝るも、彼女には効かないようで。
「もう知らにゃいんだから」
萌花は本当に家から出ていってしまうのではないかと思うほど、玄関に向かって一直線に歩いていく。……それは1番避けたい。
そう思った私は、必死に萌花を抑える。
「待ってよ……っ!」
「……にゃに」
萌花の鋭い視線に「う"」と攻撃されたような声が漏れる。そんな私を宇宙人にでも会ったかのような目で見てくる。
「キスしたら、許してくれる?」
「でも、吐いちゃうじゃにゃいの」
彼女の目にはまだ少し涙が浮かんでいて、罪悪感に鈍く襲われる。
私はそんな萌花の肩を両手で持つと無理やりこちらへ顔を向けた。
「そんなの愛の力で吹っ飛ばせるから!」
……臭いセリフだなんて言わせない。
私はそう言うと、萌花の顎を持ち、その小さな唇に自分の唇とを合わせる。
ちゅ、と小さなリップ音が鳴ると、私はもう一度角度を変えて唇を合わせる。
顔を離すと、顔を赤くし目に涙を浮かべる萌花の姿。こんなん見たら、もっとやりたくなる。
でも、慣れていない萌花の為に私は1度、ここで止めておく。
……と、アレルギー反応が一向に出てこないことに気付く。
体に発疹なし。吐き気なし。意識よし。
「やっぱり私達の愛の力は本物だったんだよ……!」
と、私が感極まって声を発すると、萌花の少し弱々しい声が聞こえた。
「さっきはあんなこと言ってごめんにゃさい……」
そう、アレルギー反応の出ない私は無敵状態。
調子に乗った私は、もう一度萌花の顎に指を添える。
「大丈夫。だから、もう1回……」
私は又も自分の唇を萌花の唇に近付ける。萌花は驚いた様子だが、顔を赤くしギュッと目を瞑る。そのキスを待っている顔も可愛くてどうにかなってしまいそうだ。
と、唇が合わさる瞬間。
胃から何かが湧き出てくる感覚を覚える。さっき食べたオムライスが戻ってきているかのようで……
「ごめん、やっぱり無理でした」
「この流れで?嘘でしょご主人」
やはり私は動物アレルギー。彼女は猫。
……誰か、動物アレルギーの治し方をご存知のお医者様はいらっしゃいませんか?
Fin
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読み漁り文々(プロフ) - 好きです~!百合のふわふわした感じが伝わってきます、、 (2020年7月27日 19時) (レス) id: 38e11e6f87 (このIDを非表示/違反報告)
奏 - 雪見だいふくさん» お話、全部面白くて可愛くて好きです!更新頑張って下さい! (2020年5月5日 23時) (レス) id: 990e5cc797 (このIDを非表示/違反報告)
雪見だいふく(プロフ) - 奏さん» コメントありがとうございます〜!是非お話にしてみますね〜! (2020年5月4日 18時) (レス) id: 26dbbe1ca5 (このIDを非表示/違反報告)
奏 - 性悪生徒の先生の嫉妬が見たいです。平気ですか? (2020年5月4日 11時) (レス) id: 990e5cc797 (このIDを非表示/違反報告)
そら - 雪見だいふくさん» あざます!!!!!!! (2020年5月1日 7時) (レス) id: 6770d884cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪見だいふく | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/mayu02071/
作成日時:2020年3月13日 8時