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雨の酷い昼下がり。
昼とは思えない空の暗さがやけに私の胸をざわつかせた。いや、ざわついているのは私だけではなかった。部屋の外から仲間の武士らがやけに騒いでいる様子が感じられた。
全く、鬱陶しい。
そう思っていると、部屋の襖が勢いよく開けられたことにびくっと肩を跳ねさせる。その武士の絶望に満ちた目を見ると、只事ではない事に即座に気がつく。
｢何事だ｣
私がそう言うと、此奴は口と足を震わせながら他の武士にも言い聞かせるような大きな声を放った。
｢姫君が……、舞姫が徳川軍に攫われたとの知らせが……！｣
舞姫が……っ！？クソッ、徳川軍は我等の考察より2ヶ月も早く手を出してきたか。
私は直ぐに刀を手に持つと、仲間が集まる部屋へと即座に移動する。姫君が攫われたという事実に頭が真っ白になり、私だけでなく他の奴らまでもが絶望に満ち溢れた顔をしている。
私はその状態に喝を入れるかのように声を枯らすほどの大声で仲間に指示を出す。
｢皆の者、即座に徳川の領地へ向かうぞ……！｣
*
｢舞姫……っ！｣
｢……っ！｣
徳川軍の武者らに手を掴まれ身動きが取れない状態の舞姫が目の前にはいた。
もう声が出ないほど弱っていて、折角の美しい顔には雨のせいでドロドロになった土が沢山付いている。とにかく激しく拘束されたのだろうと即座に思えることができ、ふつふつと湧き上がる怒りが血が滲むほど私の拳を強く握りしめた。
｢姫君を我らに返してもらおうか。さもないと、徳川の首は我々が頂く｣
刀を手にするが、厄介なことに奴等は鉄砲隊であった。こちらの軍にも鉄砲隊はいるのだが、私の手ではどうしようも出来ないことは明らかである。
そんな私の状態に、舞姫は不安げな表情を見せていた。そんな私のことを馬鹿にするかのように、奴等は大きな声で笑い始める。それに苛立ちを感じ、私が1歩前に踏み出すと姫を拘束している奴が声を発した。
｢そこから1歩でも動いたら貴様らを撃ち抜き、皆殺しにしてくれよう｣
姫がいることで、こちらの鉄砲隊は何もすることが出来ない。……姫までを撃ち抜く可能性はとてつもなく高いからだ。どう考えても我等の不利は見て取れる。
こうなると、私が1人で戦うしかないのだろうか……。しかしそのような事をすれば、私の命はない。
この状態に私達が戸惑っていることに気付いたのか、姫君は声を振り絞って私に対し言葉を放つ。
｢早く、鉄砲隊で攻撃しなさい……！｣
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読み漁り文々(プロフ) - 好きです~!百合のふわふわした感じが伝わってきます、、 (2020年7月27日 19時) (
レス) id: 38e11e6f87 (このIDを非表示/違反報告)
奏 - 雪見だいふくさん» お話、全部面白くて可愛くて好きです！更新頑張って下さい！ (2020年5月5日 23時) (レス) id: 990e5cc797 (このIDを非表示/違反報告)
雪見だいふく(プロフ) - 奏さん» コメントありがとうございます〜！是非お話にしてみますね〜！ (2020年5月4日 18時) (レス) id: 26dbbe1ca5 (このIDを非表示/違反報告)
奏 - 性悪生徒の先生の嫉妬が見たいです。平気ですか？ (2020年5月4日 11時) (レス) id: 990e5cc797 (このIDを非表示/違反報告)
そら - 雪見だいふくさん» あざます！！！！！！！ (2020年5月1日 7時) (レス) id: 6770d884cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雪見だいふく | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/mayu02071/
作成日時：2020年3月13日 8時
