On bir ページ11
「……ん？｣
談笑の声に混じって、どこか洗練された綺麗な声が聞こえてきた。
どこからかと思えば、ラボの方からだ。
「すっかりBGMになってるね〜。さすが世界の歌姫リリアン。この時代の皆もメロメロだわ」
村の子供たちが、クロムに頼んで回してもらっていたらしい。
ここ数日はすっかり娯楽のひとつになってしまっていた。
「何度聞いても、本当に素敵な歌声です」
「司軍の皆も、このレコード聞いたらいいんだよ」
「綺麗過ぎてびっくりズッキューン！で、攻撃の手止めてくれちゃったりしないかのう？」
うっとりとした声音で出された提案は、やはり初めて聴いた人ならではの発想だった。
まぁ、それが出来たら苦労しないんだけどね…
「いや〜、現代人だと、リリアンちゃんの歌とか有名すぎてね……今更びっくりズッキューンもないと思うよ〜？大体こんな音質じゃ──」
「？｣
先輩も同じことを思っていたみたいで、やんわりと二人の意見を否定した。
けれど不意に、不自然に言葉が途切れた。
こんな音質じゃ……？
「？どうしたんだよ、ゲン？｣
「あ〜なんでもないなんでもない！前の世界はも〜ちょっとレーキーな音だからさ〜？こんな音質じゃ少し難しいかな〜って｣
「そうなんだよ……残念なんだよ｣
スイカちゃんも不思議そうに首を傾げる。
先輩はフルフルと首と手を振って弁明をした。
スイカちゃんは、自分の提案がうまくいかないらしいことにしょんぼりとしてしまった。
ごめんねぇ〜、とスイカちゃんを慰める様子は一見自然な流れだ。
……けど、
(今、誤魔化したな)
先輩は今、このレコードを使って何かを企んだ。
その案が良い悪いを置いておいて、少なくともそれはスイカちゃんには言えないようなもの。
果たしてどんな策か……
きっと私たちには言ってもらえないんだろうな。
──夜。
「あら？」
寝床を整えて、さぁ寝るぞ、となった。
けど、何故か部屋の中に千空の設計図があった。
真空ポンプの設計図のようだけど、いつ持ってきたっけ？
多分ギアの部分を見てて、そのまま寝落ちたんだと思うけど……
う〜ん……
今千空に返しに行かないと忘れちゃいそうで怖いから、持ってっちゃおうかな。
千空が寝てたら仕方ないけど、このままじゃ落ち着かない。
すぐにコートを羽織って天文台に向かう。
寒さに指を震わせながら、天文台の梯子に足をかけて登り始めた。
設計図を持ちながらじゃちょっと難しいな……
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マジモンの名無し(プロフ) - たむたむさん» かなり過ぎてますが。もしまだ夢小説やっているのでしたら更新できませんでしょうか、、久しぶりにこのような素晴らしい作品に出会えて感動しております 陰ながら応援させていただきます (1月29日 15時) (
レス) @page15 id: 1d36f8c737 (このIDを非表示/違反報告)
たむたむ - 更新しないんじゃん (2022年7月15日 18時) (レス) @page15 id: 957a1dccfb (このIDを非表示/違反報告)
蒼月(プロフ) - 忙しいかもしれませんが、更新待ってます！頑張ってください、応援しています…！！ (2021年9月17日 18時) (レス) id: 371a01970c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：＿＿＿(かせん) | 作成日時：2021年4月12日 0時
