見上げてみれば、花開く。【煉獄杏寿郎、猗窩座】

8(杏寿郎side) ページ49

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「不死川実弥、雪村A
　上弦ノ弐トノ格闘ニヨリ重症ー！
　タダチニ蝶屋敷ヘムカエ！」


隊士に稽古をつけて屋敷へと帰るその帰り道
鴉からそう告げられたのはAが任務へ行ってから4日が過ぎた頃だった


俺は行き先を蝶屋敷へ変え、ただひたすらに走った



A…！頼む無事でいてくれ…！




屋敷に着いてすぐに目に入った蝶のような羽織り


「胡蝶！Aは！」

「煉獄さん、大丈夫ですよ
　血鬼術による全身の凍傷が酷いですが
　命に別状はありません
　今は薬で眠っています」

「そうか…」

「不死川さんも命に別状はありませんがAさんより重症です
　隠しの方が駆けつけたとき不死川さんはAさんを庇う様にして
　倒れていたと聞きました」

「不死川がAを守ってくれたのか…」

「その様ですね
　しかし上弦との戦いで生きて帰ってくるとはAさんは本当に強くなったのですね」

「ああ…そうだな」



胡蝶に教えられた病室に入り
奥のベッドで横になるAの側まで行く


全身を包帯で巻かれその包帯も血が滲んでいる
こんなになるまで戦ったのか


上弦と




スースーと寝息をたて眠っているAの手を取り椅子に腰掛ける


息をする度に動く胸とトクットクッと脈を打つ手を触りながら
Aは生きているんだと実感する


「良かった本当に。生きていてくれてよかった
　君が死んでしまったら俺はどうすればいい？」


その問いかけに返事はない



ーーA。俺を一人にしないでくれ



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