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「で？Aさんとの指輪の話、どうなったんだよ」
『…人の彼女の名前を気安く呼ぶんじゃねえ』
４人実況を撮り終わったところで突然うっしーに聞かれた。Aの名前が出てきて若干反応してしまう。うっしーだけに相談していたのに他の二人も知っていた。犯人は明確だ。
「キヨ、そもそもサイズは無事に測れたの？」
『いや、昨日測ろうとして失敗した上に喧嘩した』
「本末転倒じゃねえか」
何でだーとガッチさんが笑う。レトさんも笑ってるけど…独り身のくせに。
うちのAはかなりの夜更かしかつおしゃべり野郎なわけで、明日は結婚式だとか言って寝るかと思いきやべらべらしゃべってきたんだぞ。
まあ俺もスマホ直前まで見て測る段取り確認してたし、寝かそうとして強引になったしでやり方間違えたとは思うけど。
「それはご機嫌取りからだねえ」
『起きたらもういなかった』
「うわキヨくんひどいな」
「何やったんだよ」
『ちげえわ！今日結婚式とかで早く出ただけだよ』
「迎えついでに仲直りコースかあ。近くのケーキ屋探すことだね」
じゃお疲れ〜とガッチさんがディスコードを切った。今日は夕方から家族で用事らしい。かなり珍しく昼から撮り始めたため、まだ夕方前だ。
迎えったって俺色々知らないんだよ…まあガッチさんの言う通りケーキでも買っとくか。
ため息をつくとうっしーが若いなあと呟いた。
『そんな年変わらねえだろ』
「いや俺は指輪とかスムーズにいったけど。懐かしいと思ったわけよ。結婚式とか危ないし」
『…どういうこと？』
「規模デカければデカいほど純粋に祝う奴だけじゃなくなるだろ」
「出会い求めるとか言うやん。俺は縁ないけど」
お前は自ら縁を絶ってるだろと笑ううっしーの声を聞きながら、俺は一人考えていた。
危ない？出会い？いつもAは俺にくっついてくるし好きだと言ってくれるから、Aが出会いを求めるなんてない。軽率な行動なんてまさか。
やっぱり大丈夫だ。
昨日も俺が適当なこと言い続けたから爆発しただけ。
ちゃんと話してケーキ食えば機嫌治るだろ。
『んなことするわけ。ケーキかあ』
「なんでAさん発信なんだよ。言い寄られても仕方ねえって話」
『言い寄られる？Aが？』
「当たり前だろ。キヨ心配じゃなかったのか、結婚式行くって言われたとき」
うっしーに驚かれながらそう言われて、やっと違和感の正体がつかめた気がした。
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作者名：さつき | 作成日時：2020年8月12日 3時
