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『え…黒木、さん?』
「そうだ。同じ高校に黒木さんの娘さんがいるらしいんだけど、知ってるか?」
『…あぁ。友達だよ。黒木さんとは』
そうかそうか、友達と家族になるなんて変な感じかもしれないな。すまない。
そう謝る父さんを見て、別に気にしないよ、初対面よりもずいぶんマシだから、と声をかける。
話によると、あと何週間後かに顔合わせして籍を入れるらしい。そのあとAの家に引っ越す、だそうで。
どうやら俺もAも再婚には賛成していて、新しい兄弟ができるとなっても別に気にしないところが同じみたいだった。
まあ俺らとしては高校卒業したら家を出るわけだから、その後の親の幸せを優先して考えるまでなんだけど。だからそれもあって、顔合わせしてすぐ籍を入れるらしい。
父さんの話を最後まで聞いてから、明日小テストあるから勉強するわ、と言って自室にこもった。
こんなことって、ほんとにあるのかよ。
俺はAが好きだ。
そして俺の勘違いでなければ、二人でいることにAの方もまんざらでもない様子、だと思う。まあこれは言いすぎかもしれないけど。
少なくとも、いやきっと確実に、Aは俺のことを嫌いには思っていない、むしろ好印象な…とまではやっぱり言い切れないか。
ガチャ、と自室のドアを閉める。
誰も聞いているはずのない心の中でさえ、Aからの好意に確信を持つ言い方をすることが出来ない俺だけど。正直言ってそれはたぶん謙遜だ…とも、思っている。
ああ、Aが俺と同じ気持ちかどうかはこの際どうでもよかった。俺だって男だ。たとえ全く勝算のない告白だって、俺はAに告白するつもりでいた。
そんな時にこれか。
勝算とか、そういう問題でもないんだ。
兄妹になってしまえば、二人とも男女というステージからも引きずり降ろされる。言い方によっちゃ昇格するのかもしれないけど、今の俺にとっては。
『冷たいよな、マジで』
何もかもに無気力になって、その日はそのまま眠ってしまった。
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いつも見てくださってありがとうございます、作者です!
たくさんのお気に入り登録、hit数、そして順位もつけていただき本当に嬉しいです!
私生活で色々と立て込んでおりまして、思うように更新できずに…すみません。
出来るときに更新する形になります…
これからもよろしくお願いします!
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作者名:さつき | 作成日時:2020年8月12日 3時