【文スト】古書屋堂の幸運の持ち主【男主】

9話 ページ9

.



─────────────────────




ショッピングモールの中の洋食屋に着いた僕は一人でホクホクとオムライスを食べ進めていた。


何度か訪れた際に、ここの店にいつか食べに行こうと思っていた所だったので丁度良かった。




『嗚呼、それにしても美味しい...』


自分で炊事が出来ないこともないのだが流石にここまでふわふわには出来ない。


オムライスはオムライスでもここまでくるとなんだか神々しく見えてくる...


プロは凄いなあ、なんて思っていると、直ぐ近くで爆発音が聞こえた。



直後、銃声、叫び声と共にモール内に居たお客さん達が走って逃げて行く様子が見える。



『何事だっ！？』



ガタッと大きな音を立てながら椅子が倒れたが気にせず辺りを見回す。




すると、突然明らかに従業員ではない少し嗄れた低い声で
｢ここのモールは俺達が封鎖した。死にたくなければ中央広場にあつまれ。支持に従わない奴は容赦なく殺す。あー、あー、もう一度繰り返す...｣





『立てこもり、か...？』




タラりと僕の背中に冷や汗が垂れる。


洋食屋に居た殆どの人は泣き叫びながらホールか外へと向かい始めている。



時折聞こえる銃声は外へ向った人へのものだろうか。



『(このまま広場に行っても拘束されて人質になるだけだ。これだけ広いショッピングモールならそう簡単には見つからないはず...)』



父が刑事だった僕は妙な正義感からか、不思議と落ち着いてそう考え、記憶を頼りに中央ホールとは反対方向に駆け出した。

10話→←8話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す