【文スト】古書屋堂の幸運の持ち主【男主】

28話 ページ28

太｢それじゃあ自分が異能力者だと、知っていたのかい？｣


『まあ、そうはなりますかね…。
僕の異能は“運の操作”だと思います。
はっきりとはしていないので制御できているのか分からないんですけど、使わないようにしてます｡』


太｢“運の操作”…？｣


『そうです。太宰さんは神様とか信じますか？
人って生まれ持っている運みたいなのがあるんですよ。』


近くに転がっていたボールを弄りながらAは話を続ける。


『他人の運勢を変えたり出来るんです。勿論、僕のも。
変えると云うより“移動”の方が正しいかもしれませんが。』


太｢…つまり君が幸運な時は他の誰かの運を集めて使っている…という事かい…？｣


『っ…！あれは無意識のうちにっ…｡』


地雷だったのか、一瞬にしてAは苦みを噛み潰したような顔になる。

そして弄っていたボールも手から離れた。




『…昔からなんです。僕がこの異能力を使うと必ず誰かが傷付く。
…もう嫌なんです。
太宰さんや、探偵社の皆さんに歓迎していただいたのは本当に嬉しかったです。

...でも今度もまた…』



太宰は落ちたボールを拾うと、だんだん弱っていく言葉をかき消すよう声を掛ける。




太｢私達は只の探偵社じゃないよ。
異能力持ちが集う



“武装探偵社”だ｡｣


君が思っている程柔じゃない、とでも云うように立ち上がった太宰はAの頭を撫でた。

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