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「はい、紫外線中和リング。外はいま昼だよ。散々焼かれてトラウマになったでしょ」
「…」
ルクさんが投げ渡したリングをクルルは無言で受け取ると、それを腕に着けてから私たちの間をすり抜けて出ていく。
その姿を見送ってからルクさんは口を開いた。
「どう動くと思う？」
『まぁ…大人しくしてるのは最初だけじゃないですかねぇ？彼女の目的はアシェラでしょ』
「は。ブラコンだなぁ」
『はは』
ブラコンね。確かにそうだ。
おかしそうに笑い合うと、ゆったりと歩き出す。
『さーてさて。これからどうなるのやらですねぇ』
「楽しみだなー。だって俺らが本気出せるのってそうそうないぞ？」
『ですねぇ。特にルクさんは五位？って強さですし』
「それはおまえもだけどな」
『結局私も何位レベルなんですかねぇ』
色んなチカラが混ざり過ぎて、結局自分の実力がよく分からないのだ。
「んー…どうなんだろ。おまえも結構手を抜くからなぁ」
『ははは。まぁ逆に本気の出し方がよく分からないんですよ』
「俺もそんなこと言ってみてーわ」
『よく言う』
「ははっ」
外に出る。
空では太陽が輝く。その眩しさに瞳を細めた。
『眩しいなぁ』
「それな」
『人間の時も眩しかったけど、吸血鬼になってからは更に強く感じるんだよなぁ』
「俺ら目いいしな。色々見えちゃうから」
『サングラス着けたらマシなのかな』
「着けてみるか？」
『ルクさんが着けたらなんか…ソッチの人みたくなりそう』
「なんだそれ」
『似合うって話ですよ』
「褒めてんの？」
『褒めてる褒めてる』
「へー。そういうことにしといてやるよ」
二人で太陽を見上げながら酷くどうでもいい話を続けていると、感じる渇き。
『お腹空いたなぁ』
「その辺に人間いるか？」
『んー……いなさそう』
「じゃあ備蓄分の飲むしかないな」
『あれまっずいんですよねぇ。嫌い』
「ガキの頃から好き嫌いすんなよ」
『グルメなんですよ』
「吸血鬼になって数年のひよっこがグルメを語るな」
『だって不味いじゃないですか実際』
「まぁそれは認めるけど」
くぅ、とお腹が鳴り、それを聞いたルクさんは笑う。
「腹の虫がうるさそーだな」
『成長期なんでねぇ』
「ガキだもんな」
『うるせー』
「ま、我慢して備蓄の血飲んどけよ」
『うげぇ』
あれほんと不味いんだよねぇ。腐ったような味。どこかに人間いないかなぁ。この際生きてる人間なら誰でもいいや。新鮮な血であれば。
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作者名：クウ | 作成日時：2023年4月5日 20時
