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『ルクさん』
「んー？」
クルルの女王復帰が認められた為、ルクさんと私は彼女に紫外線中和リングを渡すべく、その部屋に向かう。
ちなみにウルドは他の吸血鬼に指示を出すべくレストと協議している。
『なんか、ぐっちゃぐちゃ過ぎて』
「ほう」
『前世があって、人間から吸血鬼になった今があって、更にセラフだったとかいうオンパレードがもう』
「レアキャラだな」
『レアキャラ』
この人ほんと軽いよなぁ…と思う。
隣を歩いているルクさんは正直全然そのことについて気にしてる感じはしない。
「もうなんか別に驚かないよな。おまえのことに関しては」
『はあ』
「第一、おまえがラファエラとかいうセラフだったとしても、だからって何かが変わるわけじゃないだろ？ここから消えたいのか？」
『そんなわけないじゃないですか』
「じゃあ別に気にしなくていいんじゃないか？」
そう、ぽんぽんと頭を撫でてくるルクさんを見上げながら口を開く。
『…ルクさんってさぁ』
「んー？」
『なんだかんだ結局お兄ちゃんポジションですよねぇ』
と言えば彼はニヤっと笑う。
「お兄様って呼んでもいいぞ？」
『呼ばないけど』
「優しいお兄様のお陰で元気でたって言えよ」
『言わねーよ』
「お兄様だいすきーって言えよ」
『言わねーって言ってんだろうが』
「はは」
中和リングをクルクル回しながらルクさんは戯けたように笑う。
「でもおまえがこーんなにちっさい時から面倒見てるだろ？じゃお兄様じゃん」
『その大きさだと私赤ん坊なんですけど』
「俺からしたらおまえなんて赤ん坊だっての」
『は』
「育てた妹がこんなに生意気に育っちゃって俺は悲しいよ」
『育てた人に似たんじゃないですかねぇ』
「は」
なんてくだらない話をしながらクルルがいる部屋に辿り着いた。
こんこん、とルクさんがノックを鳴らすと入室の了承を得ないまま中に入る。
「やーやー女王復帰おめでとう」
「…」
「で、誰のおかけで復帰できたんだっけ？」
煽りスキルを発動させるルクさんを睨み付けるクルルはゆっくりと口を開く。
「礼でも言えと」
「言えるの？」
「いや」
『…』
「いまおまえらが私に殺されていないことに対して、おまえらが礼を言え」
その言葉にルクさんと顔を見合わせ肩を竦める。
「それはやだなー」
『私もやだなー』
と二人で戯けて笑うとクルルの目が鋭い光を放つ。
それを気にせずルクさんは彼女に中和リングを投げ渡した。
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作者名：クウ | 作成日時：2023年4月5日 20時
