10、迷子の迷子の迷子の ページ10
××
「アタシが御礼をしたいのよォ！ほら、さっさと連絡先を教えて頂戴！」
ぎゅっと手を握り締められて、身動きひとつ取れない。
「───マダム。時間です」
黒服に身を包んだ男性が、こそっと女性に耳打ちした。マダム、そう呼ばれた女性は「あら、そォ」とあっけらかんと返事を返す。
「じゃ、アタシはパーティーがあるから行くわ」
「ぱ、ぱーてぃー……？」
「そう。パーティー。踊ったり、
「い、いえ……」
な、なんか危なそうだし……私が首がもげるくらいの勢いで首を横に振るとマダムは「ざァんねん」と無表情で呟いた。
「貴女は素敵なお人形になりそうなのに。……まァ、良いわ。また逢いましょう、
「……って、私も乱歩先輩探さなきゃ……！」
*
「……いない」
あの鑑識さんの目撃談の通り、階段付近まで降りたが乱歩先輩もエドガー先生も何処にもいない。もしかして、否、もしかしなくとも、私がマダムとお話している間に移動してしまったのだろう。
仕方ない、電話するか、とポケットに手を入れたとき、折り畳まれた紙飛行機に気がついた。司法省の秘書さんに頂いたものだ。露西亜語の挨拶を使う、あの秘書さんに。
「その紙飛行機はめちゃくちゃ大切なものだからくれぐれもなくさないように!!
あとあと、時が来るまで中身を広げないように!」
秘書さんの言葉を思い出す。
そういえば、彼は時が来るまでは、紙飛行機を開けるなと云っていた。……私はゆっくりと紙飛行機に指をかける。
「───君、こんなところでどうかしたの？」
「えっ！？」
突如現れたのは警官服を着たお巡りさんだった。
殆ど反射的に、紙飛行機をポケットに突っ込む。
いや、別に悪いことをしていたわけではないのだけれど──
「あ、すみません……！えっと……人を、探していまして」
「おやそれはいけないね。
お巡りさんが手伝ってあげよう！」
「い、いえ、そこまでして頂かなくても……」
流石に十七歳にもなって、こんなことでお巡りさんのお世話になるというのは、恥ずかしい。いくらなんでも恥ずかしすぎる。
**
11、欺き欺かれ、見抜き見抜かれ→←9、幸運にして不運な偶然
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3431人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
柊あんず(プロフ) - 香さん» いつもありがとうございます〜！早速五部の続編もあげましたのでぜひ！！はい、番外編の方の更新はいつになるか分かりませんが今後とも宜しくお願いします…(笑) Twitterやコメントなど、本当に感謝しきれません…！ (2020年6月28日 19時) (
レス) id: 30d83766f8 (このIDを非表示/違反報告)
香 - 四部完結おめでとうございます！四部は七竃ちゃんが不憫すぎて...五部でどんな展開になるのか楽しみです！ Twitterフォローさせて頂いたり、番外編の方のリクエストもさせて貰いました！五部も楽しみに待ってます！ (2020年6月28日 18時) (レス) id: 7e95bd0132 (このIDを非表示/違反報告)
柊あんず(プロフ) - 後書き。 これにて四部は完結となります！ページ数が足りなすぎて今回はここで書くことになってしまいました。ラストの表紙は竹やま様より。四部の感想などもありましたらぜひ(笑) それではまた近々五部でお会いしましょう！！ (2020年6月28日 0時) (レス) id: 30d83766f8 (このIDを非表示/違反報告)
柊あんず(プロフ) - 香さん» ありがとうございます！四部もあと少しで終わりますからね！毎回感想を頂けてとっっても励みになります…！ふふふ…続きが気になると仰って頂けるのは作者として本当に嬉しいです…！今後ともどうか宜しくお願いしますね！ (2020年6月20日 20時) (レス) id: 30d83766f8 (このIDを非表示/違反報告)
香 - 更新されてる！！今回もとても面白い話ばかりでした！探偵社と七竃ちゃんの距離がだんだん開いていってしまうようでハラハラしてます。続きが気になりすぎる！！ (2020年6月19日 7時) (レス) id: 7e95bd0132 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
