44、絶え間なく過去へ押し戻されながら ページ45
××
「……探偵屋、奴の異能がわかるか？」
フランシス先輩からのその質問に太宰先輩は一瞬厳しい顔をしたものの、お手上げだという風に「……いや」と呟いた。私からすれば、彼は異能力を持っているのかさえも分からない。それくらい実態が掴めないひとだ。骸砦で初めて会ったときから、ずっと。
「却説、Aちゃん帰ろうか」
「ああ、少し待ってくれ。彼女と話がしたい」
フランシス先輩の瞳が今度は私に向けられた。
「はい、勿論私は大丈夫ですが……あ、太宰先輩、先に戻って頂いても大丈夫ですよ」
わかったよ、と肩を竦めた太宰先輩は颯爽と去って行く。私は改めてフランシス先輩に向き直った。
「この度は本当に……ありがとうございました」
「なに、気にすることはない。それで……呼び止めた理由について、だが。君に渡したいものがあるんだ」
フランシス先輩は少し口許を緩めながら、ポケットに手を入れると、小さな箱を取り出した。深紅色のリボンが巻かれたその白い箱は美しい。
「これを君に。開けてみてくれ」
ゆっくりとリボンを解いて、箱を開ける。
入っていたのは───腕時計だった。
ベルト部分は桃色で、文字盤の周りには煌めきを放つ
「こ、こんな大層なものを私に……？い、頂けません！不相応です、私には」
「……そういう卑下は好きではないな。
不相応だと思っているのなら、君が将来的にその腕時計に相応しい
「で、でも……」
「以前、腕時計をやっただろう。初めて会った時。しかし、白鯨から転落する際に君は俺を助ける為にその時計を�狆暖餃瓩靴討靴泙辰触；；＿兇録佑砲笋辰燭發里鯤屬気譴襪里�苦手だ」
貰ってくれないか、とフランシス先輩が笑う。
私はもう一度、腕時計に目を向けた。何度見てもその煌めきは私には不相応で、矢張り無理な相談だなと思ったけれど、断る方がより無理だった。
「あり、がとうございます。大切に、します」
「ああ。君はまだ若い。幾らでも成長の余地はある。Aくんなら緑の灯火を掴めるだろうしな」
「……緑の、灯火？」
「……君も何れ分かる時が来る」
フランシス先輩は目を細め、何処か遠くを見つめて、微笑んだ。
だからこそ我々は、
前へ前へと進み続けるのだ。
流れに立ち向かうボートのように、
絶え間なく過去へと押し戻されながらも。
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柊あんず(プロフ) - 乳酸菌 チーズさん» こちらの方にもコメントありがとうございます！目……目、大丈夫ですか！？ムスカ大佐！？((( (2020年1月25日 21時) (
レス) id: 5d7d3376c6 (このIDを非表示/違反報告)
乳酸菌 チーズ(プロフ) - 目ッ…目がァァ……！！！← (2020年1月25日 20時) (レス) id: df6c59ac1d (このIDを非表示/違反報告)
柊あんず(プロフ) - 果汁ジノ％さん» 国木田さんがいたのはアニメですね！確認しましたがやっぱり原作のパーティーに国木田さんはいなかったのでもう既にあの時には捕まっていたんだと思います！よってこれは伏線ではありません……(笑) (2020年1月25日 19時) (レス) id: 5d7d3376c6 (このIDを非表示/違反報告)
果汁ジノ％(プロフ) - 原作では国木田さんもパーティーに出ていたような…まさか、逮捕の時期が早まったのも伏線なのか…！？ (2020年1月25日 19時) (レス) id: 119f59d457 (このIDを非表示/違反報告)
柊あんず(プロフ) - ひいやさん» コメントありがとうございます〜！33話の伏線、そして腕の件は四部でちゃんと回収するのでご安心ください〜！「緑の灯」についてはフィッツジェラルド様の著者「グレート・ギャツビー」からの引用になるので、完全に史実ネタですね！ (2020年1月25日 11時) (レス) id: 5d7d3376c6 (このIDを非表示/違反報告)
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