3話 ページ3
羽川さんを見るや、茨の笑顔の奥に潜む目が完全に色を変えたことに気づいた。
……"この目"は私もよく知っている、茨がよく、相手を品定めするときの目だった。
「…実は私、ここにくるまでの道で迷子になってしまっていて、困っているところを彼女が声をかけてくれてここまで道案内をしてくれたんだ」
「作用でしたか、それはどうも、ありがとうございました!閣下を迷子にさせてしまうなんて、この七種茨、一生の不覚です、あぁ、穴があったら入りたい!!」
ただただ茨の勢いがよかった。
大抵の人はこんな茨を前にすると少し尻込みするけど、彼女は違った。
「いえいえ、人助けができて良かったです!それじゃあ私はこの辺で」
茨の勢いに押されることなく、変わらぬ凛とした声でそう言い残しその場を去っていった。
そんな彼女の後ろ髪をどうしてだろう、私は目で追ってしまっていた。
その後、『アイドルとしての意識〜一般女性と並んで歩く事のリスク〜』と言うサブタイトルまできちんと記載されているようなお説教を茨にこっぴどくされてしまった。
『まあ、そのおかげで閣下が遅刻する事なく仕事も上手く進んだので、彼女が閣下に声をかけてくださったことには感謝しますが…第一、自分へ真っ先に連絡を入れていただければよかったのに、頼ってくださればいいのに…』
茨はぷりぷり怒っていた。
それを見て可愛いなんて思うけれど、本人を前に言ったらもっとぷりぷりしちゃうから口に出すのを控えた。
『……茨の力を借りずにどうにかしたかったんだけど…心配かけてごめんね?』
『まぁ、過ぎた事ですし、次何かあれば、是非この七種茨をお呼び下さい!』
『……うん、ありがとう』
「___……と言うことが3日前にあったんだ」
「凪砂くんを迷子にさせるなんて悪い日和!毒蛇にはぼくが後できっちりお説教をしなくちゃね!」
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作者名:さくらだ | 作成日時:2021年11月14日 11時