9.主を守る者。 ページ11
【NO side】
芥川が黒獣を解くと、パニックで意識を失った燐が倒れた。
慌てて国木田が駆け寄る。
「燐!…っ!?何だ…」
燐の影から…視線を感じた。
それはまるで、"此方に近寄るな"とでも言うかの様に。
「…殺気を感じる。その小娘か」
燐の影に潜む【何か】を警戒して睨む芥川。
国木田にもその殺気は感じられた為、万が一を考え、銃を構える。
沈黙が降りる。
それを破ったのは、低い【何か】の咆哮だった。
[グオォォォォォォォォ!!!!]
「「…!」」
それはこの世の者では無い。
それは誰の味方でもない。
___主を守る為に、主に近付く者を切り裂く。
【何か】は燐の影から目にも留まらぬ速さで飛び出して来た。
それは燐の形をした影だった。
顔には、静かに此方を見つめる赤い2つの目しか付いていない。
手に持った長い鎌の先から、黒い液体が滴っている。
その隣で唸り声を上げる犬と、赤い舌をチロチロと出す蛇。
その姿は…まるで死神と、その死神に仕える使い魔の様だった。
「…何だ、彼奴等は…」
「判らぬ。だが…敵である事には変わりないだろう」
燐の形をした者___燐の影が、主の様子を見るかの様に、燐を見た。
燐はぴくりとも動かない。
それが分かると、燐の影は鎌を素早く構え、先ず芥川へと襲い掛かった。
「ふん…愚者が」
だが芥川の羅生門によって塞がれてしまう。
燐の影に羅生門が嚙み付こうとした__その時。
[…これで終わると思うな]
羅生門が、空を掻いた。
「!?」
いつのまにか、燐の影は芥川の背後に居た。
鎌が芥川を裂こうとしたが、その寸前で羅生門を盾にし避けた。
その頃、犬と蛇は国木田に襲い掛かり、慣れていないのか国木田の打つ銃に苦戦している。
[…チッ]
燐の影が舌打ちしたのと同時に、犬と蛇が消滅した。
[使えぬ奴等だ…仕方ない、今回はこれで引き下がるとしよう]
「おい、待て」
[…何だ、眼鏡。未だ闘うとでも云うのか]
「違う。…お前達は、何だ?」
燐の影は足を止め、振り返った。
その目からは何を考えているかは判らない。
[…簡単に云えば…忘れられた者達、だ]
それだけ呟くと、燐の影は…唯、そこに在るだけの、何もしない本来の燐の影に戻っていった。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキーカラー
あずきいろ
ラッキーナンバー
8
ラッキー方角
西 - この方角に福があるはずです
65人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:くれーぷ | 作成日時:2017年12月19日 21時