【太宰治】気になるあの子は気まぐれな死神です。【文スト】

［弌］彼女は死神。 ページ3

《Aside.》

郵便ポストを漁ると、封筒が出て来た。




また何時もの面倒な依頼だろう。




封を切り、中に入っていた手紙を読む。




『…"ポートマフィアのあの構成員に天罰を与えて欲しい"…か』





そこに書かれていた名前は私の知り合いの内の一人だった。




なら楽な仕事だ。
呼び出す時に警戒される危険も無い。




『…へぇ、あの人スパイだったんだ…ふふっ、なかなか美味そうな仕事じゃん』




ぺろりと舌舐めずりし、鎌を出現させる。
此奴は私の相棒のようなモノだ。そこら辺にある鎌とは違うしね。




『…今日も絶好調みたいだね。そんなに暴れなくても大丈夫、すぐに吸わせてあげるさ。







…甘〜い甘〜い血を、ね』





そう言って鎌をそっと撫でると、ギラリと鈍く輝いた。






見てお分かりかも知れないが、私の職業は死神だ。





と言っても唯の死神じゃ無い。
"断罪"する死神だ。





少しでも冥府に逝く時に罪が軽くなるよう、現世で罰を先に与えて逝かせるのが私の役目。




これが私の生まれ持った義務でもある。




この鎌は吸血鬼である父さんから貰った物。
だから父さんの形見でもある。





父さんは人間である母さんを愛し、血に対する欲望が抑えられず母さんの血を吸った。






母さんは血恐怖症。
その恐怖もあり、突然父さんに噛み付かれたショックもあってすぐに亡くなってしまった。





自責の念を感じた父さんは自ら引き籠って、血に対する欲望を抑えようとした。




けれど無理だった。
それから程なくして父さんも死んだ。
その父さんの魂の一部がこの鎌に憑いている。






だから、父さんは何時も隣に居ると思って私は今日も生きている。






仕事をする為、私は標的(ターゲット)に電話を掛け、待ち合わせの約束をした。






『…さて、今日もやりますか』






私は重い扉を開いた。

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