勘違いをせずに、嫉妬をしなさい。2 ページ15
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「っひゃ、」
「あ、ごめん・・・」
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くす、と
江波戸くんが頭上で笑う。
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「襟が・・・」
「え？」
「ここ、入ってたから、」
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体操服の上から羽織った赤いジャージ。
襟が中に入り込んでいて、
江波戸くんはそれを、
長い指で元に戻してくれた。
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「うん、なおった。」
「あり、がと、」
「うん、」
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にこにこ、
いつもの笑顔で、
江波戸くんが目を細める。
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片手に持っていた白い帽子を、
きゅ、と彼は被って。
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私の1歩前を、歩きだした。
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グラウンドに着くと、
もう、野球部の練習は始まっていて。
江波戸くんは駆け足で運動場の中に入っていった。
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「がんばれ！」
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離れていく背中に、
咄嗟に投げかけた言葉を。
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江波戸くんは、
くるり、とこちらを振り返って。
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まぶしいのか、眉を寄せて、
だけど、にっこり笑って。
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「ありがと、」
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そう言って、
手を2回、左右に振って見せた。
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「Aちゃん！」
「っわ、」
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ぴょん、と後ろから飛びつかれるような勢いで、
柚子ちゃんが、私の背中を叩いた。
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「江波戸くんとイイ感じ？」
「えー？なんで(笑)？」
「なんか、オーラが幸せそうだったから、」
「一緒だよ。柚子ちゃんといる時も、幸せ、」
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にぃ、と笑って答えたら、
ふふ、って、
見透かされたように笑われた。
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グラウンドの端では、
赤岩くんがボールを投げている。
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その先には、
白尾くんが立っていて。
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彼がバットを勢いよく振った瞬間、
空に響く、良い音がして。
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心地いい音に、
目を閉じた。
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