勘違いをせずに、嫉妬をしなさい。3 ページ16
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「何やってんだ、瞑想か？」
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声を掛けられて、
びくん、と後ろを振り向いたら、
呆れた顔の田茂先生が立っていて。
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「この音、好きだなぁ、って。」
「どの音、」
「白尾くんが、打つ音、」
「もう、亀沢だけどな、」
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へら、と先生が笑う。
大きな動きでバットを振る亀沢くんは、
″目立ちたい″っていう願望を、
ごく素直に表に出す人だと思う。
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亀沢くんから目線を外すと、
きょろきょろしてる、
白尾くんが目に入って。
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何かを探しているような仕草に、
思わず笑ってしまう。
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「白尾くん！」
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大きな声で、彼を呼んだら、
″おぉ、鈴森来てたのか！″って、
酷い返事。
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ベンチに置いてあった白い帽子を手にとって、
探してるのはこれでしょう？
と振って見せると、
白尾くんはダッシュでここまでやってきた。
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「はい、どーぞ、」
「サンキュ、」
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手渡した帽子は、
白尾くんの頭に乗せられて。
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「ちょっと、しゃがんで？」
「え？なんで、」
「いいから、」
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きょとん、と瞳を揺らした後、
素直にかかんだ彼の帽子の端を、
ぱんぱん、と払う。
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土埃で茶色くなったそこを、
まわりの色となじませて。
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「ん、取れた、」
「ありがと、」
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にっこり笑って、
彼はグローブをはめて。
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守備チームに、混ざって行った。
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気づかなかった、
彼が・・・江波戸くんが。
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ずっと、こっちを見てたなんて。
眉をしかめて、
私と白尾くんを見てたなんて。
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そんなの、気づかなかった。
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不機嫌の公式、可愛いの定義。→←勘違いをせずに、嫉妬をしなさい。2
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