if... 2013 〜広島V2記念作品〜 6

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｢私も洋次郎くんみたいに青ちゃんって呼んでいいですか？｣


青山｢ダメ｣


その声で呼び名まで同じにしてしまったらと思うと、少し怖かった。


話した雰囲気までAに似てる。


青山｢下の名前にして。トシでいいよ｣


｢もう、何回ツンデレするんですか！(笑)｣


考えて喋れば喋るほど、確かに彼女たちの言うツンデレになる。


それが不思議とおかしくなってきて、思わず自分でも笑ってしまった。


青山｢ほんと、無意識なんだって(笑)｣


｢計算高いよ、トシくんっ(笑)｣


洋次郎の言う通り、A以外の人と話すのも新鮮かもしれない。


洋次郎は思ったよりはしゃいでないけど。


｢お待たせしましたー！新郎新婦入場でーす！｣


司会者のマイクで顔を上げると、幸せそうな航平と奥さんが笑顔で高砂につく。


槙野｢よっ！幸せ者ーっ！｣


あれ？あいつらもう着いてんじゃん。


Aは……


｢トシくん？｣


青山｢洋次郎ごめん、ちょっとテーブルまわってくる｣


席を立つとすぐにAの姿が見えた。


楽しそうに千葉ちゃんと話すテーブルに、岳人と拓磨がいるのを見て安心した。


テーブルに近付いて空いた椅子に座ると、千葉ちゃんに一瞥されながらちょうど航平の挨拶か始まる。


青山｢着いたなら連絡しろよ｣


スピーチの邪魔にならないように声を落とすと、Aもそのトーンに合わせた。


A｢入りづらい空気だったんだもん……｣


あぁ、やっぱり本物は全然違う。


この声だ。


青山｢A、もっと何かしゃべって｣


A｢え？今航平が……｣


青山｢ちっちゃい声でいいけん｣


Aを椅子ごと引き寄せて、Aの口元に耳を近づけた。


青山｢何か言って｣


正解の声をちゃんと聞かせて。


A｢青ちゃん？｣


その困った声でさえ、本物の方がずっといい。


青山｢よかった｣


あの子に青ちゃん、なんて呼ばせなくて。


A｢何が？何かあったの？｣


耳元で焦る声にもそそられる。


顔を上げてAの目を見た。


青山｢A、もっと｣


｢トシくん？こっち移るの？｣


違う、そんな声じゃない。


もう間違えない。

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